米主要企業の雇用に減少傾向が鮮明になっている。AIの普及を背景に、コスト削減と人員再編が同時に進み、S&P500構成企業の総雇用は年間ベースで2016年以来初めて減少に転じた。
Cryptopolitanが27日(現地時間)に報じたところによると、S&P500構成企業の総雇用は2810万人となり、前年から約40万人減少した。過去8年間で300万人超の雇用を積み増してきたが、AI導入の本格化で流れが変わった格好だ。
今回の減少は、企業がコスト効率の改善と予算の再配分を並行して進めた結果とみられる。Amazonはコーポレート部門で約1万6000人を削減し、Metaも約8000人を減員した。
Microsoftは約8750人を対象に退職を募った。UPSは4万8000人、Citigroupは2万人、Dell Technologiesは1万2500人をそれぞれ削減し、全体の減少幅を押し上げた。
今回の人員削減で特徴的なのは、過去と比べてホワイトカラー職種への集中が目立つ点だ。ソフトウェア開発や金融、顧客サービスに加え、会計や法務調査などの知識労働にも影響が及んでいる。
実際、マーケティングやデータ分析などAIの影響を受けやすい分野では、求人が2026年初め時点で25〜31%減少した。企業がAIによる生産性向上の効果を見極めるまで、採用を慎重に進めているとの見方が出ている。
Boston Consulting Groupは、2029年までに米国の雇用の50〜55%がAIによって再編される可能性があると予測した。単純な代替よりも、再教育の需要が大きくなるとの分析も示している。
同社のマネジングディレクター兼シニアパートナー、マシュー・クロフ氏は「同じ職務にとどまっても、担う業務は変わる」としたうえで、「多くの職種で再教育と業務転換が必要になる」と述べた。
一方、株式市場の評価は雇用動向と必ずしも一致していない。Metaの株価は、AI関連の人員削減を発表した後に約4%上昇した。コスト効率の改善とAIシフトを市場が好感したためとみられる。
大企業が構造改革の理由としてAIに言及し始めている点も、今回の変化を象徴している。
もっとも、警戒感も強まっている。Goldman Sachsは、AIを要因とする人員削減が2026年の失業率に無視できない影響を及ぼす可能性があると分析した。雇用の代替ペースが新規雇用の創出を上回る恐れがあるためだ。
その一方で、AIベースの業務を設計・監督する「スーパーユーザー」には、高い報酬上乗せが生じている。
若手人材の採用市場の縮小も鮮明だ。米国の雇用データによると、ジュニア開発者の採用は過去7年間で55%減少した。AIが基礎的なコード作成やテスト、開発アーキテクチャ設計といった反復業務を代替し、ジュニア人材が経験を積む領域が急速に狭まっているためだ。
企業の間では、従来は10人規模の開発チームが担っていた業務を、AIを使いこなすシニア人材4人程度でこなせるとの判断が広がっている。
顧客対応やバックオフィスでも再編は進む。Salesforceは、AIが顧客とのやり取りの半分以上を処理していることを理由に、約4000人を削減した。
銀行業界でも、日常的な取引処理や口座管理、コスト管理の自動化が進んでおり、今後3〜5年で約20万人分の職務が減る可能性があるとの見通しが示された。
法務やマーケティングも例外ではない。文書レビューや法務調査を中心とするパラリーガル業務では、約31%の業務でAIツールが担う比率が高まっている。
デジタルマーケターの80%以上は、コンテンツ作成業務に高い自動化リスクがあるとみている。ただ、複雑な意思決定やデバッグ、利害関係者との交渉など、人の判断が重要な業務への影響は相対的に限られると評価されている。
こうした中、企業の採用戦略は二極化しつつある。IBMは総務・人事部門の一部職種を減らす一方で、高度なAIエンジニアやデータ関連人材の採用を拡大している。
総人員が減少しても、コア技術と中核人材への投資はむしろ集中する構図だ。
米大企業の人員再編は、単なる削減にとどまらない。一般事務職の比重を下げ、AI中心の職務へ軸足を移す方向で進んでいる。AIの普及が、雇用市場の構造そのものを変える転換点になりつつある。