米財務省は、国家債務の削減に向けた任意寄付の受け付けで、新たにPayPalとVenmoに対応した。Pay.govを通じた寄付の利便性を高める狙いだ。一方で、債務問題への別の対応策として暗号資産業界が期待するビットコイン戦略備蓄を巡る法案は、議会で審議が進んでいない。
BeInCryptoが現地時間26日に報じた。財務省はPay.gov上で一般から「国家債務削減のための寄付」を受け付けている。この制度は1961年に始まり、1996年以降の累計寄付額は約6700万ドルに達した。2026年2月の寄付額は約3万ドルだった。
もっとも、寄付額の規模は米国の財政負担と比べると極めて小さい。月平均の寄付額は約12万ドルにとどまるのに対し、米国の総債務は39兆ドル(約5850兆円)に上る。利払い費だけでも月約880億ドルに達しており、任意寄付では到底追いつかない水準だ。
米政界では、歳出削減による財政再建策も議論されている。ランド・ポール上院議員は、今後5年間に連邦政府支出1ドル当たり6セントを削減する「Six Penny Plan」を提唱している。ポール氏は「債務危機の解決策は複雑ではない」とした上で、「すべての1ドルから6セントを削減し、5年以内に均衡財政を達成しなければならない」と主張した。ワシントンが身の丈に合った財政運営を拒んでいることが問題だとの認識も示した。
これに対し、暗号資産業界では別の選択肢として、政府によるビットコイン備蓄を訴える声がある。シンシア・ルミス上院議員が提出した2025年の「BITCOIN Act」は、今後5年で100万BTCを財政中立を前提に取得する構想を盛り込んでいる。
資産運用会社VanEckは、戦略的ビットコイン備蓄によって2050年までに米国の債務を36%削減できる可能性があるとの試算を示している。同社は、2025年から2049年にかけて世界の金融資産900兆ドルが年率7.0%で複利成長することを前提に、このシナリオではビットコインが世界の金融資産の18%を占めると説明した。
ただ、BITCOIN Actは現在も委員会段階にとどまっている。ルミス氏は2025年12月、次回選挙で再選を目指さない意向を明らかにしている。
ドナルド・トランプ大統領は行政命令を通じ、没収したビットコインを活用する備蓄の枠組みを整えた。ただ、実際の運用期限はすでに過ぎており、議会も追加購入に向けた予算を手当てしていない。あわせて提出された「メイド・イン・アメリカ法案」には、こうした枠組みの法制化が盛り込まれている。
米国では現在、国家債務への対応を巡って2つの方向性が併存している。1つはPayPalやVenmoを通じた任意寄付の拡充、もう1つは供給量が限られたビットコインを国家備蓄として保有する構想だ。もっとも、後者はなお制度化には至っていない。