ビットコインが8万ドルの節目を前に上値を抑えられ、7万7000ドル台に下落した。オンチェーンデータではBinanceへのステーブルコイン流入が続き、米国のビットコイン現物ETFにも資金が流入している。一方で、DeFi分野の相次ぐ攻撃や原油高は市場の重荷となっている。
CoinDeskによると、27日(現地時間)のアジア時間にビットコインは一時7万9000ドルを上回ったものの、その後は上昇分を吐き出し、直近24時間で約2%下落した。
市場では、8万ドル近辺に売り注文が集まり、短期的な上値抵抗になっているとの見方が出ている。FxProのチーフマーケットアナリスト、アレックス・クプチケビッチ氏は、ビットコインが数日間で2度目の8万ドル接近後に下押し圧力を強めたとし、この価格帯に積み上がった売り注文が一段高を阻んでいると指摘した。
もっとも、今回の下落を相場転換とみる向きは限られる。クプチケビッチ氏は、この反落について、3月末に始まったより大きな上昇局面の中で起きた一時的な調整との見方を示した。短期的には抵抗線に阻まれたものの、中長期の資金フローは引き続き良好だという。
こうした見方は、オンチェーンデータとETFの資金動向にも表れている。CryptoQuantによると、Binanceには今月に入り約34億ドル(約5100億円)相当のステーブルコインが純流入した。3月の純流入額30億ドル(約4500億円)に続く流入で、CryptoQuantのアナリスト、ダークポスト氏はX(旧Twitter)で「回復局面への参加を狙う新規資金の流入を示している」と説明した。
機関投資家の需要も底堅い。米国上場のビットコイン現物ETFには今月、24億4000万ドル(約3660億円)が流入した。ビットコインが12万6000ドルを超え、過去最高値を更新した昨年10月以降で最大規模という。現物ETF経由の資金流入が続くなか、その動きが価格にどう波及するかが目先の焦点となっている。
一方で、リスク要因も残る。分散型金融(DeFi)を巡るセキュリティリスクが投資家心理を圧迫しているためだ。先週には、SUI基盤のレンディングプラットフォームScallopが攻撃を受け、約15万SUI、約14万2000ドル(約2130万円)を失った。被害額自体は大きくないものの、今月発生したDriftとKelpDAOのハッキングに続き、DeFi分野では被害が相次いでいる。
Memento Researchによると、DeFiプロトコルは4月だけでハッキングにより約6億2300万ドル(約935億円)を失った。DeFiLlama集計の累計被害額は約77億2000万ドル(約1兆1580億円)に達しており、DeFiのセキュリティ脆弱性が依然として構造的なリスクであることを示している。
攻撃の手口では、秘密鍵の奪取が最大の割合を占めた。損失全体の40%が秘密鍵の流出によるものだった。秘密鍵は暗号資産ウォレットを管理する中核的な認証情報で、一度奪われるとウォレットや資金の回復は極めて難しい。このため、セキュリティ対策はスマートコントラクトの脆弱性だけでなく、秘密鍵の管理体制まで含めて見直す必要があるとの指摘が出ている。
伝統的な金融市場の変動も無視できない。西テキサス産原油(WTI)は1バレル90ドル超、ブレント原油は100ドル超で推移している。供給制約が続くなか、原油高はインフレ懸念や世界景気への不安を強めかねず、暗号資産市場のリスク選好にも影響する可能性がある。ビットコインが再び8万ドルの壁に挑むのか、それとも外部環境の悪化やDeFiリスクを受けて調整が広がるのか。短期的な値動きに市場の関心が集まっている。