写真=Reve AI

AI向けチップの供給不足が深刻化するなか、大手クラウド事業者がGPUリソースを社内需要や大口顧客に優先配分している。しわ寄せはAIスタートアップに及び、GPUサーバーの確保が難しくなっているほか、利用料金の上昇にも直面している。The Informationが報じた。

資金調達を進めた有力スタートアップも例外ではない。報道によると、Sequoia Capital、Founders Fund、General Catalyst、Andreessen Horowitzなど有力ベンチャーキャピタルから多額の出資を受けたAIスタートアップでも、GPU不足の影響が広がっている。

足元の状況は、OpenAIがChatGPTを公開した直後の2023年初頭に似る。当時もクラウド事業者は計算資源を社内需要やOpenAIなど主要顧客向けに重点配分していた。

もっとも、今回はAIコーディング関連の需要が急増しており、影響の裾野は当時より広い。特にAIスタートアップでは計算資源へのアクセスが一段と難しくなっている。The Informationは、クラウド企業やスタートアップ創業者の話として、Anthropicなど大手AI企業の需要拡大を受け、クラウド各社が小規模顧客向けGPU容量を絞っていると伝えた。

こうした需給の逼迫を背景に、クラウド各社はNVIDIA製GPUサーバーの利用料を引き上げやすくなっており、収益性の改善につながっているという。

画像生成AIモデルを手がけるKreaは6カ月前、NVIDIAのBlackwellを数百基、1基当たり時間単価2.8ドル(約420円)で6カ月間借りる契約を結んだ。契約時には複数のクラウド企業がKreaの獲得を競っていたが、その後、市況は大きく変わった。

Kreaが追加のAIサーバー確保に動いた際には、一部クラウド事業者の営業担当者となかなか連絡がつかない状態が続いた。その後、提示された条件も厳しく、価格は大幅に上昇し、契約には3年の長期契約が必要だとされた。

最終的にKreaは、従来より32%高い価格でBlackwell数百基のレンタル契約を結んだ。The Informationは、Kreaの共同創業者兼CEOであるビクター・パレズ氏の話として伝えている。

1000基規模のGPU調達を計画していても、AIスタートアップがクラウド事業者から十分な枠を確保するのは容易ではない。より大きな規模でGPUインフラを必要とする顧客が多いためだという。

過去に結んだクラウド契約の更新時期を迎える企業が増えていることも、スタートアップには逆風となっている。The Informationによると、2〜3年契約の満了を迎えるAIスタートアップが増えるなか、クラウド事業者はより高額な料金プランを提示したり、空いた容量を他の顧客に振り向けたりしやすくなっている。

供給不足とコスト上昇が続くなか、AIスタートアップ側も打開策を探り始めた。

General Catalystは、投資先がGPUを確保しやすくするため、GPU枠の共有プールの運用強化や、クラウド事業者との直接交渉を進めている。クラウドで借りるのではなく、GPUを購入して自社で運用するオンプレミスに踏み切る動きも出ている。

AIエージェント開発を手がけるCollideもその1社だ。GPUを自社保有で構築する場合、短期的にはクラウド利用よりコストがかさむものの、レンタルを巡る不確実性を踏まえれば、オンプレミスは十分に検討に値する戦略だという。The Informationは、同社CEOのコリン・マクレランド氏が、数年単位でみればクラウドで借りるより自社構築のほうが安くなる可能性があるとの見方を示したと報じている。

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