画像はIronmaceの「Dark and Darker」。画像提供:Ironmace

NexonとIronmaceが争う「Dark and Darker」訴訟で、最高裁が30日に判断を示す。焦点となるのは、著作権侵害と営業秘密侵害の線引きに加え、開発過程で蓄積された未公開の開発資産をどこまで保護対象として認めるか、さらにサービス差し止めを認める要件をどう整理するかだ。

下級審は2度にわたり、著作権侵害は認めない一方で、営業秘密侵害は成立すると判断した。最高裁がこの枠組みを維持すれば、今後のゲーム業界の類似訴訟では、単なるジャンルや構成の近似性よりも、開発資産の管理体制や持ち出しの有無が主要な争点になる可能性がある。

◆著作権侵害は否定、営業秘密侵害は認定された理由

訴訟の発端は2021年。Nexonは、未公開プロジェクト「P3」の開発チームを率いていたチェ氏らが、退社時に社内資料を無断で持ち出し、その後にIronmaceを設立して「Dark and Darker」を開発したとして、著作権侵害と営業秘密侵害を理由に差し止めなどを求めて提訴した。これに対しIronmaceは、問題とされた要素は当該ジャンルで一般的なルールやコンセプトに近いとの立場を示してきた。

今回の判断を理解するうえでは、著作権と営業秘密の違いが重要になる。著作権侵害の成否は、具体的な表現に実質的な類似性があるかどうかが問われる。一方、営業秘密では、その情報が非公知で経済的価値を持ち、企業によって秘密として管理されていたかが判断の軸となる。

言い換えれば、著作権侵害は成果物そのものの表現上の類似性が問題となり、営業秘密侵害は開発過程で生じた未公開の資産や情報が外部に流出し、利用されたかどうかが問われる。下級審が著作権侵害を否定しながら営業秘密侵害を認めたのは、この法的な違いを踏まえたものだ。

1審は営業秘密侵害を認め、Ironmaceに約85億ウォンの損害賠償を命じた。一方で、著作権侵害の主張とサービス差し止め請求は退けた。裁判所は、両ゲームの表現形式には実質的な類似性がないと判断した一方、Nexonが秘密として管理していた社内の開発資産が無断で流出した点については責任を認めた。

2審もこの大枠を維持したが、営業秘密侵害の認定範囲は広げた。1審では認定対象に含めなかった「P3」関連の開発プログラムやソースコード、ビルドファイルについても、Nexonを介さず通常は取得できない独自の情報として、営業秘密に当たると認定した。

あわせて、営業秘密の保護期間も2年から2年6カ月に延長した。ただ、著作権侵害の主張とサービス差し止め請求は、1審と同様に退けられた。

注目されるのは、営業秘密侵害の認定範囲が広がった一方で、損害賠償額は1審の85億ウォンから57億6464万ウォンに減額された点だ。これは法的判断が後退したためではなく、損害額の算定方法が変わったためだ。

2審は、営業秘密の保護期間中に発生したIronmaceの売上高など客観的な資料を基に、「P3」関連資料の寄与度を15%と算定し、損害額を直接計算した。営業秘密として認める範囲は広げつつ、賠償額は寄与度に応じて見直した形だ。

◆最高裁の争点は保護範囲と差し止め要件

最高裁判断の最大の焦点は、下級審が示した「著作権侵害は否定し、営業秘密侵害は認定する」という判断枠組みを維持するかどうかにある。1審、2審ともに、両ゲームの表現には実質的な類似性がないとして、著作権侵害を認めなかった。

最高裁がこの判断を確定させれば、今後の類似訴訟では、単に「2つのゲームが似ている」という主張だけで著作権侵害を認めさせるのは難しいとの見方が強まる可能性がある。

もう1つの争点は、営業秘密として保護される範囲だ。2審が開発プログラム、ソースコード、ビルドファイルまで営業秘密に含めた判断を最高裁が支持すれば、ゲーム各社は、プロジェクト文書からコード、データに至るまで、開発資産全体の管理を一段と厳格化する可能性がある。

その場合、今後の紛争では、作品同士の外形的な類似性よりも、開発過程の痕跡や、企業側がどのような資産管理体制を敷いていたかの立証が重視される公算が大きい。

サービス差し止め請求の扱いも重要な論点となる。下級審は営業秘密侵害を認めながらも、保護期間がすでに終了していることを理由に、サービス差し止めは認めなかった。

損害賠償が金銭で責任を問う手段であるのに対し、サービス差し止めはゲームの流通や運営そのものを止める措置であり、影響はより大きい。最高裁がこの判断を維持すれば、侵害認定が直ちにサービス停止につながるのではなく、保護期間や侵害の継続性などを踏まえて個別に判断する流れが定着する可能性がある。

業界が今回の判決を注視するのは、問題がIronmace1社にとどまらないためだ。ゲーム業界では人材の移動が活発で、近いジャンルのなかで各社が独自のコンテンツやシステムを競い合う構図にある。

開発成果物の保護範囲がどこまで認められるかは、業界全体のセキュリティ管理基準だけでなく、人材流動化のなかで退職後の起業や開発活動をどこまで許容するかにも直結する。

業界関係者は「今回の判決は、開発資産の管理や退職者に対するセキュリティ手続きについて、実務上の基準を示す判例となる可能性がある」と話している。

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