写真=Socarがサブスクで提供するFSD搭載のTesla Model X(筆者撮影)

Socarは4月27日、Teslaの「Model X」「Model S」をサブスクに投入したと明らかにした。フルセルフドライビング(FSD)監督型を搭載した2車種は、予約開始から10日で約2000件を集めた。短期カーシェアと月単位の長期レンタルの間にある1〜3週間の需要を取り込む狙いで、将来的には自動運転データ事業の強化にもつなげる考えだ。

同日、ソウル・聖水エリアでFSD監督型車両の試乗会を開いた。対象はFSD監督型の最新バージョン(v14.1.4)を適用した2026年型のModel XとModel S。Socarは2025年10〜12月期に2車種の導入に向けた事前契約を終え、2026年3月から予約を受け付けていた。4月中旬から最終契約を結んだ顧客への引き渡しを順次進めている。

試乗はソウル・聖水洞のディタワー前を発着点とし、都心部を約25分走行するルートで実施した。運転席で中央のボタンを長押しするとFSDが作動し、車両は信号や車線の状況を判断しながら永東大橋方面へ進行した。車線変更や加減速も滑らかだった。一方、走行中にスマートフォンへ視線を移すと警告音が鳴り、システムが一時停止する場面もあった。

その後の江辺北路でもFSDは安定して作動した。聖水やソウルの森周辺の進入区間でも自然に走行し、車内ではSocarのサブスク事業戦略について説明が行われた。

案内役を務めたパク・ジヌ氏(Socarサブスク事業チーム・マネジャー)は、「Socarの短期カーシェアは通常1〜3日、長くても1週間程度が中心だ」とした上で、「1週間超から月単位までの需要を十分に取り込めていなかった」と説明した。これを受け、同社は従来の「Socar Plan」を「Socarサブスク」に刷新し、最短利用期間を1週間に短縮。1週間経過後は自動延長される仕組みを導入した。

料金体系も週単位の需要に合わせて見直した。2車種の料金は保険料込みで週149万ウォン、月399万ウォン。取得税などの初期費用はかからない。走行距離の上限は週400km、月1500kmに設定した。パク・ジヌ氏は「車両価格を基準にすれば、もっと高い料金設定も可能だが、まずは市場にサービスを浸透させる段階と判断した」と述べ、「Teslaはサブスク事業を広く認知してもらうための呼び水だ」と語った。

今回の刷新でもう1つの柱となるのが自動延長だ。従来のSocar Planでは契約終了のたびに利用者が延長の可否を選ぶ必要があったが、Socarサブスクでは特段の意思表示がない限り契約が継続する。短期カーシェアの利用者を週単位、さらに月単位のサブスクへと移行させる導線を意識した設計だ。パク・ジヌ氏は「既存の月単位利用者を維持しつつ、週単位という新たな需要層を取り込む考え方だ」と話した。

FSD監督型車両は、この戦略の最上位に位置付けられる。韓国ではFSD監督型の買い切りオプション価格が900万ウォンに上り、オプション込みの車両価格は1億5000万ウォンを超える。一般消費者にとって手軽に試せる価格帯ではない。Socarが導入した100台はいずれもFSD付きの車両で、同社は先行して確保した形になる。イーロン・マスクTesla最高経営責任者(CEO)が今後、FSDを月額サブスク方式のみで提供する方針を示していることもあり、こうした車両の資産価値は時間とともに高まる可能性がある。

Model XとModel Sは韓国で新規注文の受け付けがすでに終了している。Teslaは両車種の2026年4〜6月期の生産中断も発表しており、Socarによると、大手レンタル事業者の中でFSD監督型のTeslaを保有するのは同社だけだという。一部の長期レンタカー会社もTeslaを扱っているが、中心は1〜2年単位のリース契約だ。

もっとも、今回の試乗会の狙いはサブスク商品やTeslaのFSDを訴求するだけではない。背景には、自動運転データ事業というより大きな構想がある。

パク・ジェウクSocar代表は2026年1〜3月期から自動運転の新規事業に注力している。Socar関係者は「代表は現在、『未来移動』タスクフォース(TF)で新規事業を専任している」とした上で、「TFが1〜3月期に最初に取り組んだのは、これまで蓄積してきた走行データをパイプラインとして構築することだった」と説明した。

同社が競争力として挙げるのは、データ収集の仕組みだ。全国2万5000台の車両に前後2チャンネルのドライブレコーダーと自社製テレマティクス端末(STS)を搭載。STSは速度、操舵、ブレーキ、加速度など100種類以上の車両データをリアルタイムで本社に送信する。これら車両の1日当たり走行距離は110万kmに達し、全国の道路総延長11万kmの10倍に相当するという。

さらに、LiDAR、カメラ7台、慣性計測装置(GPS IMU)を搭載したフルセンサーキットのプロトタイプも完成させた。今後は最大1000台まで段階的に拡大する計画だ。

Socarによると、エンドツーエンド(E2E)の自動運転モデル学習には、大規模フリート、車両データ収集機能、集中型パイプラインの3つが必要になる。同社は、これらをすべて備える事業者はグローバルでもTeslaとSocarに限られるとみている。完成車メーカーはフリートを持っていてもパイプラインが弱く、自動運転スタートアップは運用車両が数十台規模にとどまるというのがその理由だ。

中でも事故データは確保が難しい資産とされる。Socarは年間4万件超の実事故映像とEgomotionデータを蓄積しており、累計では22万件、8.8TBを保有する。シミュレーションでは再現しにくいエッジケースのデータとして価値が高い。Teslaを前面に打ち出したサブスク事業は、その背後で進める自動運転データ事業とも接続している。

Socar関係者は「自動運転の時代には、AIモデルそのものはすでにオープン化が進んでいる。最終的にサービス品質を左右するのは、どのデータを学習に使うかだ」と述べた。その上で、「Socarが短期カーシェア事業者として生き残るため、15年かけて蓄積してきた走行データが、いま新たな価値を持ち始めている」と話した。

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