画像=Huawei「Qiankun ADS 3.0」(Huawei Central)

Huaweiは今後5年間、自動運転車の学習・検証向け演算基盤の強化に最大800億元を投じる。ADAS「Qiankun ADS」の信頼性向上と採用拡大を進め、中国のスマートドライビング分野で主導権を維持する狙いだ。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が4月24日、報じた。同社は中国のスマートドライビングシステム供給で優位を保つため、大規模な資本投資に踏み切る。

投資の中心となるのは、Qiankun ADSを搭載する車両の性能向上に向けた学習・検証インフラの整備だ。Huaweiのスマートカーソリューション部門でCEOを務めるジン・ウィズ氏は北京で開いたイベントで、2026年だけでも自動運転の研究開発に180億元を配分する計画を明らかにした。

ジン氏は、自動運転について「長期投資を要する産業だ」と説明した。その上で、2026年のスマートドライビング関連投資180億元は、主要な自動運転ソリューション企業の投資額合計を上回る規模になるとの見方を示した。

Huaweiが特に重視しているのが演算インフラだ。自動運転の高度化には、ADASの学習・検証で蓄積する膨大なデータを効率的に処理する能力が欠かせない。同社はこの領域への先行投資を通じて、システムの安定性と性能を引き上げる構えだ。

足元では事業基盤も広がっている。Qiankun ADSプラットフォームの累計自動運転走行距離は今月初め、100億kmを突破した。Huaweiは中国本土で25の自動車ブランドと協業し、50車種超にQiankunを展開している。搭載車の納車台数は170万台に達した。

実走行データの蓄積という点で、比較対象として挙がるのはTeslaだ。上海の国際智能車両工学協会で事務総長を務めるデイビッド・ジャン氏は、中国の一部ADASについて、中国の道路環境ではTeslaのFSDより高い性能を示したと評価した。一方で、中国の自動運転技術はなお内需市場中心で、国際市場ではFSDが先行しているとも指摘した。

Huaweiは完成車メーカーではなく、車載システムと中核部品の供給企業としての立ち位置を強めている。アークフォックスやアバターなど中国の自動車メーカーに対し、車載チップやLiDARセンサー、コネクテッド技術を供給し、準自動運転機能の実装を支援している。

こうした戦略は、2021年のSeresとの協業以降、より鮮明になった。両社が共同で立ち上げた電気自動車ブランド「AITO」は現在、中国のプレミアムEV市場で有力ブランドの一角を占める。その後、Seresは2024年半ば、HuaweiからAITOの商標権と特許を25億元で取得することを決めた。これは、HuaweiがEVメーカーではなく、車載システムと技術ノウハウの供給者としての役割を強める方向性を示す事例といえる。

Huaweiは完成車メーカーに対し、開発費の削減や新車投入の迅速化、スマートドライビングシステムの検証効率向上を支援できる点を訴求している。競争が激化する中国市場では、主要自動車メーカーが優位性確保に向け、ハンズオフ機能を備えた自動運転車の開発を加速している。

規制面でも追い風が吹く。中国当局は昨年12月、レベル3の自動運転機能を備えたEVの生産を一部企業に初めて認めた。レベル3では一定条件下で車両が自律走行する一方、必要時にはドライバーが直ちに介入できる状態を保つ必要がある。Huaweiの大型投資は、中国の完成車業界でレベル3対応が本格化する局面と重なり、スマートドライビングの供給競争を一段と押し上げる可能性がある。

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