Polymarketの予測精度は、多数の参加者による「群衆の知恵」ではなく、情報優位にある少数の取引者によって支えられている可能性がある――。2023年から2025年までの全取引を分析した研究で、こうした実態が浮かび上がった。
米ブロックチェーンメディアのThe Blockが26日付で報じた。論文は、Polymarketの価格精度が集合知よりも「情報に通じた少数の知恵」を反映していると結論付けている。
論文「Prediction Market Accuracy」は、ロンドン・ビジネス・スクールのロベルト・ゴメス=クラム氏、ユンハン・グオ氏、ハワード・クン氏と、米イェール大学のテイス・インガースレブ・イェンセン氏が執筆した。分析対象は172万アカウント、21万322件の市場、取引規模は約137億6000万ドルに上る。
研究チームは、全アカウントのうち3.14%を「熟練した収益口座」に分類した。短期的な価格変動と最終結果の双方を一貫して先取りしていた口座群を指す。
この口座群はマーケットメイカーと合わせ、全利益の30%以上を獲得した。一方で、全体に占める比率は3.5%未満にとどまった。
これに対し、「非熟練または不運な損失口座」に分類された口座は全体の67%を占め、プラットフォーム全体の損失を負担していたという。
研究チームは、損益だけで取引能力を判定するのは難しいとも指摘した。各取引者の売買方向を無作為に反転させ、1万回再計算したところ、上位収益口座と熟練口座群の一致率は12%にとどまった。
また、「運の良い勝者」とみられた口座の約60%は、別の事象群では損失に転じた。
その一方で、実力の持続性は比較的高かった。学習用サンプルで熟練口座に分類された口座の44%は、別サンプルでも熟練口座にとどまった。
研究チームがアクティブ運用のミューチュアルファンドに同じ手法を適用した比較分析では、この比率は約10%だった。
さらに研究チームは、インサイダー取引が疑われる1950件のアカウントも抽出した。これらのアカウントは単一の事象の直前に開設され、結果確定後は休眠状態となっており、投じた1ドル当たりの価格インパクトは熟練取引者の7〜12倍だったという。
ただ、こうした口座は特定の事象に集中しているため、プラットフォーム全体の予測精度を左右した主因とみなすのは難しいと判断した。
論文では、12月27日から1月3日に開設された3件のアカウント事例も取り上げた。これらのアカウントは、米軍事作戦の公表前にマドゥロ政権の排除に賭け、63万ドル超を得たとしている。
この事例は、米商品先物取引委員会(CFTC)が木曜日に、機密情報を用いたイベント契約取引の疑いで、米陸軍曹長のギャノン・ケン・バン・ダイク氏を提訴した最初のインサイダー取引事件と重なる。
研究チームはあわせて、予測市場は「集合知」を活用するという業界の説明にも疑問を呈した。論文では、Kalshiの最高経営責任者(CEO)タレク・マンスール氏と、PolymarketのCEOシェイン・コプラン氏の発言も引用している。