米商品先物取引委員会(CFTC)の人員が、ドナルド・トランプ大統領の復帰後に大きく減少している。職員数は535人と15年ぶりの低水準となった。一方で、暗号資産や原油先物に加え、急成長する予測市場への対応が重なり、監視・監督の負担はむしろ増している。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、CFTCの職員数は2026年2月時点で535人に減った。解雇や希望退職、早期退職が重なり、トランプ氏の復帰後に24%減少したという。
なかでも規制負担を押し上げているのが予測市場だ。政府の取り締まりや戦争、選挙、スポーツ、著名人に関する出来事、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策、裁判所の判断など、公表された事象を対象に資金を賭ける市場で、近年急速に拡大している。
市場の拡大に伴い、インサイダー取引や市場乱用を監視する必要性は高まっているが、監督にあたる人員は逆に細っている。
今回の人員削減は、ジョー・バイデン前大統領が指名し、その後トランプ政権下で委員長代行に昇格したキャロライン・ファム体制で進められた。マイケル・セリグCFTC委員長は、イーロン・マスク氏が支援した政府効率化省(DOGE)による連邦職員削減の流れのなかでも、効率化や技術導入によって業務は維持できるとの見方を示している。
ただ、内部では執行機能の低下を懸念する声が強い。CFTCの元幹部は、人員削減が合理性を欠いた形で進み、経験豊富な執行弁護士や審理担当者が大量に職を離れたと指摘した。
シカゴ事務所では、執行弁護士が20人からゼロになったと伝えられている。
人員はなお減る可能性がある。議会に提出された執行部門の予算案では、関連人員は2025年の140人から約23%減の108人体制となる見通しだ。
CFTCは、人員減の穴をAIで埋める考えだ。予測市場に関する規則へのパブリックコメントの検討にAIを活用しており、職員はMicrosoft Copilotを使ってメモや報告書、発表資料を作成している。
企業からの承認申請の処理にもソフトウェアを導入した。予測市場取引所の承認申請は足元で過去最高水準に達したとされる。
もっとも、議会はこうした対応で十分なのか疑問視している。ニキ・ブジンスキー下院議員は、CFTCが納税者の期待に見合う監督機能を維持できるのか懸念があるとし、「効率性」という言葉が、実態としては大規模な人員削減を意味しているのではないかと批判した。
政界では利益相反も争点になっている。ブジンスキー議員は、大統領や行政府関係者、議員とその家族が予測市場に参加できないようにする超党派法案を提出した。
一方、Trump Media & Technology Groupは独自の予測プラットフォーム計画を公表した。ドナルド・トランプ・ジュニア氏は予測市場プラットフォームのKalshiで有給アドバイザーを務めるほか、Polymarketにも投資家として関与している。
Polymarketは昨年、米国顧客向けサービスの提供が認められたものの、なお完全な運用段階には至っていない。Kalshiは一部の係争市場を巡って220万ドルを返金し、訴訟にも直面している。
また、当局は自社プラットフォーム上で自身の選挙に賭けた議会候補3人を制裁した。
こうした状況を受け、予測市場取引所にはインサイダー取引を防ぐ仕組みを自前で整備する必要が生じている。CFTCの承認後は、各市場が連邦法を順守していることを企業側が直接認証しなければならない。
仮に議会が4億1000万ドル(約615億円)の予算と正規職650人を承認したとしても、CFTCの規模はトランプ第1次政権の大半の時期をなお下回る見通しだ。
元幹部は、CFTCが対応案件の選別を迫られ、一部の分野で監督の空白が生じかねないと懸念を示している。