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ビットコインに懐疑的な立場で知られる経済学者のピーター・シフ氏が、Strategyの資金調達モデルに警鐘を鳴らした。優先株「STRC」の発行を通じてビットコインを買い増す手法について、需要が鈍ればBTCの売却圧力につながる「死のスパイラル」に陥る可能性があると指摘している。

BeInCryptoによると、シフ氏は26日、StrategyがSTRCの発行で調達した資金を使ってビットコインを積み増す仕組みは、同社株とビットコインの双方に重荷となり得ると主張した。

シフ氏が問題視したのは、ビットコイン保有の拡大と現金支払い義務のミスマッチだ。Strategyは4月20日、25億4000万ドル規模のビットコイン購入を実施し、保有量は81万5061BTCに達した。購入資金の大半は株式発行で調達したという。

一方で、ビットコイン自体はキャッシュフローを生まない。STRCは毎月配当を支払う変動配当型の優先株で、足元の年率は11.5%。シフ氏は、配当原資を確保するには、保有するビットコインを売却するか、需要が弱まる中でも新たなSTRC発行を続けるかのいずれかを迫られるとみている。

シフ氏は、「ビットコインが年2%上昇するだけで、STRCの11.5%利回りを無期限に賄えるという見方は、MSTRがSTRCの発行を止めることが前提だ」と指摘。その上で、「実際にはセイラー氏は発行を増やしている」と述べた。STRCの販売額が増えるほど、利回りを維持するために必要なビットコイン価格の上昇率も高まるという見立てだ。

STRCは2025年7月に年率9%の配当で投入され、約5万792BTCの購入原資を提供した。その後、月次配当率は7カ月連続で上昇し、現在は11.5%に達している。シフ氏は、こうした利回り上昇が、継続的な営業キャッシュフローではなく資本市場での調達に依存するモデルの脆弱さを示しているとみる。

Strategyは直近の購入分を除いても、2026年に入ってから6万4948BTCを追加購入した。買い増しペースは過去より速い。ただ、このペースを維持するには、資本市場で資金調達を継続できることに加え、現在の利回り水準でもSTRCへの需要が続くことが前提となる。新規発行が増えるほど、定期的な現金負担も膨らむ構図だ。

市場では需要が冷え込む局面にある。シフ氏は、STRC需要が鈍化した場合、ビットコインの売却が断続的に発生し、BTC価格とStrategyの純資産価値の双方を押し下げる可能性があると指摘した。さらに、永久優先株であるため、配当停止が形式上ただちに債務不履行に結び付くとは限らない点にも言及した。

他のアナリストからも、信用市場のストレス局面や金利上昇局面でSTRCがどう機能するのかを懸念する声が出ている。一部では、こうしたエクスポージャーが暗号資産市場全体のシステムリスクにつながる可能性も指摘されている。

これに対し、マイケル・セイラー会長はこうした問題提起を受け入れていない。MSTRの長期的な超過パフォーマンスと、3月に公表した420億ドル規模のアット・ザ・マーケット(ATM)プログラムを根拠に従来の立場を維持し、シフ氏に対してはSTRCの仕組みを巡る議論を公開の場で呼びかけた。

今後数カ月の焦点は、現在の利回り水準でもSTRCへの資金流入が続くかどうかだ。投資家が同商品を吸収し続ければ現行の調達構造は維持される可能性があるが、需要が弱まれば、シフ氏が警告するBTC売却圧力が現実味を帯びることになる。

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