Gartnerは、2030年までに先進国で新設される倉庫の半数が、ロボットを前提に設計された施設になるとの見通しを示した。人件費の上昇や人手不足を背景に、物流分野では自動化の導入が加速している。
TechRadarが23日付の報道によると、米調査会社Gartnerは、この流れを単なる技術導入ではなく、物流オペレーションの構造転換と位置付けている。人件費の上昇、労働力不足、単純反復作業の担い手不足が重なり、企業は処理能力を維持する手段として自動化を急いでいるという。
なかでも注目されるのは、ロボットの役割が補助的なものから、運用の中核へと移りつつある点だ。Gartnerのサプライチェーン分析担当、アブディル・トゥンカ氏は、AIが倉庫環境をリアルタイムで最適化し、固定的だった物流オペレーションを柔軟なシステムへ変えつつあると説明した。
これに伴い、倉庫設計の考え方も変わる。従来のように人の作業効率を軸にするのではなく、ロボット群をいかに効率的に稼働させるかを前提に再設計が進んでいるという。
人の役割も変化する見込みだ。Gartnerは、今後は人手の比重が定型的な実行業務から外れ、例外対応へと一段と移るとみている。
反復的で標準化しやすい作業はロボットや自動化システムが担い、人はシステムでは処理しきれないイレギュラー対応や管理業務に注力する構図になる。
倉庫運用のデジタル化も進む。デジタルツインは設計段階のシミュレーション用途にとどまらず、リアルタイムの運用管理にも活用範囲が広がる見通しだ。動線や在庫配置、作業配分を継続的に最適化する基盤としての役割が増すという。
Wireless Logicで製品マーケティングを統括するイアン・デイビッドソン氏は、デジタルツインについて「計画ツールから運用の神経系へ進化している」と評価した。
一方、自動化の水準が高まるほど、データ精度とシステム間の接続性への依存度も増す。データフローに一貫性が欠けたり、接続が不安定だったりすれば、自動的な意思決定の信頼性が揺らぐ可能性があるためだ。
専門家は、とりわけ大規模な物流現場では、障害発生時の対応とシステムのレジリエンス確保が重要な課題として浮上していると指摘する。
倉庫自動化の成否は、ロボット単体の性能だけでなく、それを支える運用インフラにも左右されるとの見方もある。安定した接続性に加え、センサーによるマッピングや映像ベースの安全システムなどがそろって初めて、継続的な運用が可能になるという。
業界では今後、倉庫は単なる保管スペースではなく、AIとロボットが常時稼働する運用システムとして再定義されるとみられている。人の関与が減るほど、データ品質とネットワークの安定性が、自動化移行のスピードを左右する要因になりそうだ。