Teslaが、自動運転用コンピュータ「HW4」の改良版となる「HW4 Plus」の投入を準備している。新チップ「AI4.1(AI4 Plus)」の採用によりメモリ容量を増やし、チップ当たりのRAMは16GBから32GBへ、システム全体のメモリ容量は64GBに拡大する見通しだ。
Electrekが4月23日(現地時間)に報じたところによると、イーロン・マスクCEOは2026年1〜3月期決算の説明で、AI4.1またはAI4 Plusと呼ぶ新チップについて言及し、現行世代からメモリ容量を2倍に引き上げる考えを示した。
マスク氏は、次世代のAI5チップの車載時期に触れる中で、この計画を明らかにした。Teslaは現時点で、AI4でも無監視の完全自動運転(FSD)は実現可能との認識を示している一方、AI5はまずOptimusロボットとデータセンター向けに適用する方針だという。
一方でAI4 Plusは、Samsungによる設計修正が完了すれば、来年にも生産に入る見通しとされる。現行のAI4チップはSamsungの7ナノメートルプロセスで製造されている。
同じ決算説明では、HW3の限界も改めて示された。マスク氏は、HW3では無監視FSDの実現は難しいと認め、主な制約としてメモリ帯域幅を挙げた。
同氏によれば、AIの推論性能はメモリ帯域幅の影響を大きく受ける。HW3の帯域幅はHW4の8分の1程度にとどまるという。
こうした発言は、すでにHW4搭載車を保有するユーザーに新たな疑問を投げかけている。TeslaはHW4で十分だと強調してきた一方で、実際には改良版ハードウェアを相次いで投入しているためだ。
実際、2026年1月にフリーモント工場で生産された一部のModel Yには、いわゆる「AI4.5」コンピュータが搭載されていたことが知られている。このバージョンは、従来の2チップ構成から3チップ設計に変更されたとみられるが、Teslaは正式には公表していない。
足元の流れを見ると、HW4からAI4.5、さらにAI4 Plusまで、約2年の間に3度の改定が行われることになる。現行世代で自動運転に対応できるとしながら、実際にはメモリ容量と演算性能の引き上げを続けている格好だ。
技術面での改善の方向性も明確だ。AI4はGDDR6メモリを採用し、約384GB/秒の帯域幅を確保している。HW3のLPDDR4メモリと比べると大幅な向上となる。
ただ、システム全体のメモリ容量は32GBにとどまり、競合チップと比べて不足を指摘する声もあった。HW4 Plusではこの弱点を補うため、メモリ容量を64GBへ拡大し、帯域幅の追加改善にも重点を置くとみられる。
Teslaは2019年以降、HW3搭載車を数百万台規模で販売し、すべての車両がFSDに必要なハードウェアを備えていると主張してきた。FSDソフトウェアの価格は最大1万5000ドルに達する。
しかし、HW3では無監視FSDに対応できないことが明らかになり、Teslaは約400万台を対象とするハードウェア換装に向け、「マイクロファクトリー」の構築案まで検討したことがある。
そのため市場の関心は、HW4 Plusの投入後に既存のHW4搭載車をどう位置付けるのかに向かいそうだ。AI5を車両よりもロボットやデータセンターに先行投入する判断も、車載プラットフォームの切り替えが容易ではないことを示している。