米国銀行協会(ABA)は22日、ステーブルコイン法「GENIUS Act」の施行規則を巡り、米財務省や連邦預金保険公社(FDIC)などに対し、意見提出期限の延長を求める書簡を送付した。通貨監督庁(OCC)の最終規則が公表された後、さらに60日間の意見募集期間を設けるよう求めている。
Cointelegraphによると、書簡の送付先は財務省のほか、FDIC、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、海外資産管理局(OFAC)。ABAは、各機関が策定を進める規則の多くがOCCの最終内容に大きく左右されるため、現時点では規則間の整合性や実務への影響を十分に見極めにくいと訴えた。
ABAの主張の柱は、OCCの最終規則が固まらない段階では、残る規則について実質的な意見提出が難しいという点にある。書簡では、FDICもこうした相互依存関係を認識していると説明。関係当局が複数の論点でOCC案との整合を図ってきたとした上で、GENIUS Actの適用対象となる機関について、最終規則をどの水準までそろえるべきか判断するには追加の時間が必要だと主張した。
GENIUS Actは、ドナルド・トランプ米大統領が2025年7月に署名したステーブルコイン法。署名後は、財務省やFDICなどの規制当局が施行に向けた詳細規則を定める段階に入っている。法律では施行時期を、最終規則公表から120日後、または法成立から18カ月後のいずれか早い時点と定めている。今回の要請が認められれば、施行日程は最大で約2カ月後ろ倒しとなる可能性がある。
銀行業界は、ステーブルコイン規制の詳細設計に加え、暗号資産の市場構造を定める「CLARITY Act」の議論にも関与している。ABAは、ホワイトハウスの報告書が、ステーブルコインで利息収益を認めない場合の銀行業界への影響は限定的だとした点についても異論を唱えた。ステーブルコインの収益構造を巡る法的位置付けが変われば、銀行と非銀行事業者の競争環境にも影響が及ぶためだ。
一方、議会審議もなお流動的だ。CLARITY Actを巡っては、上院で法案処理に関する合意がまだ成立していない。報道によれば、ノースカロライナ州選出のトム・ティリス上院議員は、上院銀行委員会の共和党トップであるティム・スコット議員に対し、5月中に審査日程を設定するよう求めたという。審議日程がずれ込めば、上院本会議での採決も遅れる可能性がある。
ステーブルコイン制度を巡っては、立法段階よりも、むしろ施行規則の調整が実際の適用時期を左右する構図が強まっている。規制当局間の整合性確保に時間を要する中、銀行業界の追加意見募集要請も重なり、制度の本格適用は当初想定より遅れるとの見方が広がっている。