Tether(写真:Shutterstock)

Tetherのドル連動型ステーブルコイン「USDT」の流通量が1880億ドルに達し、過去最高を更新した。新興国を中心にデジタルドル需要が拡大しているほか、ステーブルコインの用途も暗号資産取引所での流動性供給にとどまらず、決済や送金、企業向けの決済基盤へと広がっている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、パオロ・アルドイノCEOが22日(現地時間)に、この数値を確認した。USDTは世界最大のステーブルコインで、今回の流通量は3月上旬の1840億ドルから増加した。当時は約3150億ドル規模だったステーブルコイン市場全体の約58%を占めていた。

供給拡大の背景には、新興市場でのデジタルドル需要の高まりがあるとみられる。とりわけ、従来の金融サービスへのアクセスが限られる地域で利用が広がっている。アルドイノCEOはこれまでに、世界で5億5000万人超が決済や貯蓄にUSDTを利用しているとして、「USDTは大衆のためのデジタルドルだ」と述べている。

USDTの供給量は年初に一時減少した。2月は15億ドル、1月も12億ドル減った。2月の減少幅はFTX破綻後で最大だったが、Tetherは当時、これを資金流出ではなく「戦略的再配置」によるものだと説明していた。アルドイノCEOも、アルゼンチンなどでの利用は堅調だと強調しており、その後は再び過去最高水準まで戻した格好だ。

財務面の厚みも改めて示された。Tetherおよび外部データによると、同社の運用資産は約1870億ドルに上り、2025年の利益も100億ドルを超えたという。

Tetherは2月の四半期アップデートで、USDTの準備金が約1929億ドル、自己資本が63億ドルだと公表した。市場変動が大きくなった場合でも、中核エコシステムを支えるバッファーになるとの見方を示している。

アルドイノCEOは、USDTの送金構造についても集中度の低さを強調した。最大の送金アカウントが全体の活動に占める比率は5%未満で、一部競合トークンでみられる約25%と比べて低い水準だという。

ネットワーク別では、Tron上で流通するUSDTが約867億ドルと、過去最高に近づいた。市場の流動性と需要がともに維持されている兆候と受け止められている。

ステーブルコインの用途は、取引所向けの流動性供給を超えて、実際の決済や送金、金融インフラへと広がりつつある。DoorDashは40カ国超で加盟店や配達員への支払いを簡素化するため、Tempoベースのステーブルコイン決済インフラを開発している。

Tempoは、DoorDashと連携し、配達員、加盟店、利用者を含むエコシステム全体でデジタル通貨による決済を支援する仕組みを構築していると説明した。

DoorDash共同創業者のアンディ・ワン氏は、ステーブルコインには米国にとどまらず、世界の金融インフラを変える現実的な可能性があると指摘した。その上で、同社として傍観者にとどまらず積極的に関与したい考えを示し、加盟店や配達員に対して、より速く低コストで支払えるようになれば、エコシステム全体に明確な利点があると述べた。

Tempoは、このインフラによって高速処理や、ほぼリアルタイムの決済、低く安定した手数料を実現できると説明している。取引が集中しても性能を維持できる独立した処理経路を備え、ISO 20022互換のメモフィールドを通じて、複数通貨・複数国にまたがる資金決済も構造化できるとしている。

こうした動きは他の決済企業にも広がっている。Stripeは2024年、ステーブルコインプラットフォームのBridgeを11億ドルで買収することで合意した。Mastercardは3月にBVNKを約18億ドルで買収し、Visaも7月に決済プラットフォームの拡大に乗り出した。

ステーブルコインは、暗号資産取引の補助手段を超え、グローバル決済や企業財務インフラの一角として組み込まれつつある。USDTの流通拡大と、DoorDashや主要決済各社の取り組みは、その活用領域が実利用へと広がっていることを示している。

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