デル・テクノロジーズは4月23日、Intel、調査会社IDCと共同でまとめた2本のレポートを公表し、アジア太平洋地域の企業がAI導入の試行段階を越え、本格導入フェーズに入ったとの見方を示した。あわせて、AI PCとワークステーションが企業のAI基盤として重要性を増しているとした。
同社によると、対象地域の企業では、クライアントデバイスからエッジ、データセンターまでAI活用の領域が広がっており、業務特性に応じて必要な計算資源を最適配置する動きが強まっている。
今回のレポートは、アジア太平洋地域の企業におけるAI PCとワークステーションの導入状況と、今後のインフラ戦略の方向性を分析したもの。AI PCに関するレポート「未来対応型人材:AI PC導入の戦略的意義」と、ワークステーションに関するレポート「ワークステーションで実現する未来志向のコンピューティング」は、2025年10月に同地域のITおよびビジネス分野の意思決定者を対象に実施した調査結果を基にしている。回答者数はそれぞれ720人、960人。
AI PCは、AIワークロードをローカルで処理することでクラウド依存を抑えつつ、応答性能を高められる点が特徴だという。
調査では、韓国企業のAI PC導入率は37%と、アジア太平洋平均の48%を下回った。一方で、導入の遅れが事業に及ぼす影響への懸念は強い。
回答企業の33%は、AI PC導入の遅れによって中核人材が競合他社に流出する可能性を懸念した。運用効率の低下やコスト増加を挙げた企業も33%、市場での主導権低下を挙げた企業は32%で、いずれもアジア太平洋平均を上回った。
こうした背景から、韓国の回答者の69%がPC購入時の判断基準として、AI機能を「最も重要」または「必須」と回答した。アジア太平洋平均の56%を約13ポイント上回っており、デル・テクノロジーズは韓国企業でもAI PC導入が加速する可能性を示す結果だと分析している。
AI PCの導入パートナー選定では、セキュリティを重視するとした韓国企業が64%で最多だった。これに、エコシステムの充実度やISV認証(59%)、総保有コスト(53%)が続いた。
「AI PCの影響を最も大きく受ける業務機能」を尋ねた設問では、韓国企業はIT運用を42.7%で最上位に挙げた。次いでエンジニアリング・研究開発と顧客サービスがともに32%。このうち顧客サービスは、アジア太平洋平均の20.1%を11.9ポイント上回った。
また、AI PC導入率が50%を超えるアジア太平洋地域の企業では、一般的なPCと比べて生産性が30%向上し、従業員1人当たり1日平均2.17時間の業務時間削減効果が確認されたとしている。
アジア太平洋地域の回答者の80%は、AI PCがもたらす安全かつ一貫性のある業務環境が、エージェンティックAIの全社導入を後押しすると答えた。
一方、ワークステーションは高度なAI処理を担う基盤として存在感を高めている。アジア太平洋地域の回答者の97%が、AIおよび機械学習(ML)モデルの活用に必要な高性能ソリューションとしてワークステーションを挙げた。
韓国企業の回答者の72%は、今後5年間でワークステーションの保有台数が増えると見込んでいる。
韓国企業の過半は、AIワークロードでワークステーションを幅広く活用していることも分かった。具体的には、データ準備が57%、モデルのファインチューニングが52%で、負荷の高い処理に活用が進んでいる。
韓国市場では、ワークステーション選定の主要な基準として「長期的なコスト効率」を挙げる企業が多い点も特徴だった。デル・テクノロジーズは、AI導入を巡る議論の軸が初期導入費用から、ライフサイクルや拡張性、安定した性能を含めた総保有コスト(TCO)へ移っていることを示す結果だと強調した。
韓国デル・テクノロジーズのキム・ギョンジン総括社長は、「AI PCとワークステーションは、企業向けAIの次の段階を切り開く中核プラットフォームだ」とコメントした。そのうえで、「現場に近いAI PCと、高性能演算を担うワークステーションを組み合わせることで、企業はワークロードに応じた分散型AI環境を効率的に構築できる。セキュリティと個人情報保護を強化しながら、実質的なビジネス成果にもつなげられる」と述べた。