中国のAIスタートアップDeepSeekが、企業価値200億ドル超を前提に、初の外部資金調達を検討している。22日付の報道によると、Alibaba GroupとTencent Holdingsが同社への出資を巡って協議しているという。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによれば、DeepSeekは最近になって外部投資家との交渉を始めた。DeepSeekはヘッジファンドのHigh-Flyer Capital Management傘下の企業。交渉はなお継続中で、最終的な企業価値や調達額は変動する可能性があるものの、市場の関心拡大を背景に評価額は短期間で切り上がっている。
想定評価額はここ数日で大きく上昇した。先週時点では、企業価値100億ドルで少なくとも3億ドル(約450億円)を調達する案が取り沙汰されていたが、その後は投資家の関心が一段と強まり、希望企業価値は200億ドルを超える水準に急速に引き上げられたとされる。一方で、米国の一部ベンチャーキャピタルは、中国のスタートアップ案件であることを理由に慎重な姿勢を崩していない。
DeepSeekを巡る注目は資金調達だけにとどまらない。NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は22日、Dwarkesh Podcastで、DeepSeekが新たなAIモデルを米国製ハードウェアではなくHuawei製チップ向けに最適化した場合、米国にとって深刻な影響を及ぼしかねないとの認識を示した。
フアンCEOは、AIモデルが米国中心の技術基盤とは異なるエコシステム向けに最適化され、中国の標準や技術が世界に広がれば、中国が米国を上回る可能性もあると述べた。あわせて、競争の焦点は単純なチップ性能差だけではないとも指摘し、中国は豊富な電力と厚いAI研究者層を抱えており、AI競争で巻き返す余地があると強調した。
もっとも、現時点のチップ性能では中国勢はなおNVIDIAに後れを取っている。HuaweiのAscend 910Cの推論性能は、NVIDIAのH100に対して約60%の水準にとどまるという。米国製チップは足元で中国の競合製品より5倍超高性能で、この差は2027年に17倍まで広がるとの見方もある。Huaweiは2026年にAIチップ75万個の出荷を目標としているが、総出荷量ベースの演算能力はNVIDIAの3〜5%水準にとどまる見通しだ。
一方、AIインフラ企業への資金流入も続いている。同日、AIインフラ企業のBast Dataは、企業価値300億ドル(約4兆5000億円)で10億ドル(約1500億円)を調達したと発表し、NVIDIAも投資家として参加した。今回の調達により、Bast Dataの企業価値は2023年時点の91億ドルから3倍超に拡大した。今年の世界のAI企業による累計調達額は2805億ドルに達し、このうち1700億ドル超がOpenAI、Anthropic、xAIの3社に集中している。