金融各社がYouTubeを活用したブランド発信で成果を上げている。商品説明に偏った従来型の動画から一歩進み、ストーリー性や参加体験、人気クリエイターとの協業を組み合わせることで、顧客接点の拡大とブランド好感度の向上につなげている。
KB Financial Groupは、キャンペーン動画「再び書く 大韓が生きた」で代表的な成功例を示した。動画は公開から約1カ月で再生回数1000万回を超えた。
独立運動の意味を現代的に読み替えたうえで、国民参加型の仕組みを組み込んだ点が特徴だ。動画の共有や高評価に応じて一定額が寄付として積み立てられる設計とし、視聴にとどまらない参加を促した。こうした行動喚起型の構成が拡散を後押ししたとの見方が出ている。
KB Financial Groupは、この反響を受けて、後続キャンペーンとして歴史的な出来事に改めて光を当てるコンテンツも追加公開する計画だ。
Hana Financial Groupは、表現の幅を広げる戦略を打ち出した。発足20周年に合わせて公開した「Hana Universe」では、約9分の短編映画形式を採用した。
短尺広告の枠を離れ、物語を軸にした映像として制作し、「バンクテインメント」という新機軸に挑んだ。航空機の機内を舞台にしたコメディータッチのエピソードに、金融サービスとブランドメッセージを自然に織り込んだ構成だ。
著名人の起用や映画的な演出によって、作品としての完成度を高めた点も目を引く。金融商品を前面に押し出すのではなく、物語の中に溶け込ませることで、視聴者の抵抗感を抑えることに軸足を置いた。
Woori Financial Groupは、外部の人気クリエイターとの協業で波及力を高めた。最近、個人のYouTubeチャンネルを開設したクリエイターのキム・ソンテがWoori Bankを訪れる動画を公開し、短期間で高い再生数を記録した。
この動画は、キム・ソンテのチャンネルで初のタイアップ動画としても注目を集めた。公開3時間で再生回数100万回を超え、2日で再生回数400万回に迫ったという。開設初期にもかかわらず、すでに150万人超の登録者を抱えるクリエイターの影響力が反映された格好だ。
動画では本店訪問や社員体験、経営陣へのインタビューなどを自然に盛り込み、金融機関の内側を親しみやすく伝えた。従来の広告に比べて視聴のハードルが低く、没入感も高い形式として、協業モデルの有効性が確認されたとの評価が出ている。
一方、Tossを運営するViva Republicaは、自社チャンネルの競争力を武器に存在感を示している。YouTubeチャンネル「Moneygraphy」は22日時点で登録者数が70万人を超え、累計再生回数は1億9000万回を突破した。2億回到達も視野に入る。
Moneygraphyの特徴は、投資情報中心の従来型金融コンテンツから離れ、消費や文化、トレンドを組み合わせた点にある。代表コンテンツ「B酒類経済学」シリーズでは、ウェブトゥーンやコーヒー、流通といった身近な題材を経済構造と結び付けて解説し、大衆性と専門性を両立させた。
口コミを通じて人気が広がり、広告やイベント頼みではなく自然流入を軸に登録者を増やしてきた点も、コンテンツそのものの競争力を示す指標と受け止められている。
このように、金融業界のYouTube戦略は、参加型キャンペーン、ストーリー重視の映像、クリエイター協業、自社コンテンツプラットフォームの構築へと多様化している。
従来は商品説明中心の情報発信が主流だったが、足元ではコンテンツの面白さや完成度そのものが競争力を左右する要素として浮上している。視聴時間を伸ばし、自発的な共有を促せるかどうかが成果を分けるためだ。
業界では、こうした流れが短期的なマーケティング施策にとどまらず、中長期のブランド戦略として定着する可能性が高いとみている。金融サービスの非対面化が進むなか、YouTubeのようなプラットフォームは顧客接点を確保する中核チャネルとしての役割を強めている。
単なる再生回数だけでなく、「どれだけ長く見られ、どれだけ共有されるか」が重要指標となるなか、コンテンツの企画力が金融会社の競争力に直結する局面に入りつつある。
金融業界関係者は「商品を単純に説明するだけでは顧客の関心を引きにくい。コンテンツの完成度と共感性を高め、自然なかたちでブランドを体験してもらう戦略が重要になっている」と話した。