英政府は、ステーブルコインやトークン化預金を既存決済と同じ制度で扱う方針を打ち出した。写真=Shutterstock

英国政府は、ステーブルコインやトークン化預金を既存の決済サービスと同じ制度の下で扱う「単一の決済規制枠組み」の整備に乗り出した。決済制度の近代化を進めるとともに、ブロックチェーンを活用した新たな決済手段にも対応する狙いがある。

米ブロックチェーンメディアのThe Block Cryptoが21日(現地時間)に報じたところによると、英財務省はLondon Fintech Weekで決済規制の見直し方針を公表した。

改革の柱は、従来の決済サービスとデジタル資産ベースの決済を分けて規制するのではなく、1つの枠組みで一体的に整備する点にある。英財務省とルーシー・リクビー市担当相は声明で、イノベーションを後押ししつつ決済制度の近代化を進め、トークン化やブロックチェーン基盤の決済システムといったデジタル金融の変化に対応すると説明した。

見直し案では、決済に利用されるステーブルコインを今後、発行規制の対象に位置付ける方針を盛り込んだ。併せて、金融行為監督機構(FCA)によるオープンバンキングの監督権限拡大や、人工知能(AI)エージェントが実行する決済への規制対応も検討する。

ステーブルコイン決済サービスを手掛ける事業者の規制対応負担を軽減する新たな法整備も予告した。英政府は、オープンバンキングを巡る制度変更に対応できるよう、FCAの権限拡大も進める方針だ。

併せて、トークン化されたホールセール金融市場インフラの開発を担う人事も発表した。EYのパートナーで、FCAの元暫定最高経営責任者(CEO)でもあるクリス・ウラード氏を「ホールセール・デジタル市場チャンピオン」に任命し、トークン化されたホールセール金融システムの構築を主導させる。

支援策として、英財務省は4月から金融イノベーション技術センターに100万ポンドを拠出し、業界横断の連携を後押しすることも明らかにした。

英政府は今回の施策を、金融サービスの競争力強化戦略の一環と位置付けている。リクビー氏はフィンテックを英国の「真の成功事例」と表現し、金融市場の成長加速と国際競争力の強化に向けて政府が支援を続けていると述べた。

また今回のパッケージについて、急速に変化する技術環境の中で新たな機会を取り込むため、安全で競争力のある決済エコシステムを構築する最新の取り組みだと説明した。

英政府は、デジタル資産とブロックチェーン技術について、金融サービスの利用のあり方を変える潜在力を持つと評価した。消費者や企業と金融サービスとの関わり方を大きく変え得るとして、英国は既存の金融産業基盤、フィンテックのエコシステム、規制面での強みを生かし、この転換を主導できるとの認識を示した。

一方で、市場では制度整備だけでは実際の普及にはつながらないとの見方も出ている。Coincoverの最高営業責任者(COO)、アンソニー・ヤング氏は、政府が示した決済エコシステム構想や、ステーブルコインとトークン化を軸にした方向性について「方向は正しい」と評価する一方、「制度設計だけで普及が決まるわけではない」と述べた。

ヤング氏は、機関投資家の参加拡大には、カストディ体制や鍵管理システム、災害復旧体制といった運用面のレジリエンスも、規制環境とあわせて整備する必要があると強調した。

英政府は今後、決済サービスと電子マネー規制の見直しに関する別途協議も近く始める計画だ。金融サービス分野で世界から選ばれる拠点を目指す10カ年計画と、リーズ改革の方針に沿った後続作業となる見通しだ。

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