米上院で審議されている暗号資産市場構造法案「CLARITY法案」について、上院銀行委員会でのマークアップが4月から5月以降にずれ込む可能性が高まっている。最大の争点となっているのは、ステーブルコインへの利回り付与をどう扱うかだ。
Cointelegraphは21日(現地時間)、Punchbowl Newsの報道を引用し、共和党のトム・ティリス上院議員が、上院銀行委員長のティム・スコット上院議員に対し、同法案のマークアップを5月に延期するよう求めたと伝えた。
ティリス上院議員はこれまで、暗号資産業界と銀行業界の協議を主導してきたが、双方の溝を埋めるにはなお時間が必要だと判断したという。同議員は「日程を急ぐよりも、関係者全員の意見を聞いたうえで、何を受け入れるのかについて合理的な根拠を示すことが極めて重要だ」と述べた。
銀行業界は、ステーブルコインに利回りが付けば銀行預金が大規模に流出しかねないと警戒している。とりわけ地域銀行は預金流出への耐性が弱く、結果としてコストの高いホールセール資金調達への依存が強まる可能性があるとの立場だ。
一方、暗号資産業界は、より柔軟なステーブルコイン規制を求めている。Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOらは、業界に配慮した条項の必要性を訴えてきた。先月には、第三者の暗号資産プラットフォーム上での活動に連動する報酬は認める一方、単純な保有残高には適用しないとする妥協案も浮上していた。
市場では、法案審議の遅れが長引けば、11月の米中間選挙前の成立が難しくなるとの見方も強まっている。スコット・ベセント米財務長官は3月、「民主党が下院の主導権を握れば、合意形成の可能性は大きく損なわれるだろう」と述べており、議会の勢力図次第では法案成立の追い風が弱まるとの懸念がくすぶる。
こうした中、業界ロビー団体のThe Digital Chamberは同日、上院銀行委員会に書簡を送り、CLARITY法案の速やかなマークアップを要請した。同団体は、下院が同法案を超党派の支持で可決してからすでに270日超が経過したと指摘。テイラー・バー政府渉外責任者は「これ以上は待てない」としたうえで、「デジタル資産を受け入れた7000万人以上の米国人には、長く待ち望まれてきた規制の明確性を享受する権利がある」と述べた。
業界内では、完全な条件が整うのを待つより、まず法案審議を前に進めるべきだとの声も出ている。ただ、上院ではステーブルコインの報酬設計が既存の金融システムとどのように接続するのかを巡り、なお見解の隔たりが残る。今後の焦点は、上院銀行委員会が5月中に実際の審議日程を設定するか、そして利回り条項を巡る妥協案を取りまとめられるかに移っている。