最長寿命の上限を押し上げられるかが、長寿研究の新たな焦点になっている。写真=Shutterstock

科学界で、人間の最長寿命を120〜130歳超へ引き上げる可能性を探る長寿研究への関心が高まっている。世界の平均寿命は着実に伸びている一方、確認されている最長寿命の記録は長年ほぼ更新されておらず、寿命の上限そのものを押し上げられるかが次の論点として浮上している。

米メディアCryptopolitanが20日(現地時間)に報じた。報道によると、平均寿命の改善が続く一方で、人類の最長寿命は数十年にわたって大きな変化がなく、この壁を破るバイオ技術の進展が注目されている。

長寿研究の専門家であるシム・ランドは、19世紀には40歳未満だった平均寿命が大きく伸びたと指摘した。関連報告書では、2024年の世界の平均寿命は73.3歳とされている。

新型コロナウイルス禍の2020〜2021年には70.9歳まで落ち込んだが、その後は回復した。日本や香港のように、平均寿命が85歳前後に達している地域もある。

ただ、平均寿命の上昇と最長寿命の伸びは別の話だ。シム・ランドは、過去75年で平均寿命は延びたものの、最長寿命はほぼ横ばいだったとの見方を示した。

公式記録上で最も長生きした人物は、フランスのジャン・カルマンで、122年164日を生きた。複数の予測モデルでも、人間の最長寿命は120〜130年程度に収まると推定されている。

シム・ランドは、今世紀中に人間が数百年生きたり、120歳を大幅に超えたりする可能性は低いとみている。一方で、医療や長寿科学のブレークスルーが続けば、寿命の上限が将来的に120歳や130歳を超える可能性はあると説明した。これは、老化介入の進歩によって寿命の限界を押し上げられるとする「長寿脱出速度」の考え方にも通じる。

足元では、実際に臨床段階へ進む技術への関心が強まっている。Life Biosciencesは今月初め、部分的再プログラミングのヒト臨床試験に向けた準備を始めた。

この技術は、細胞の生物学的年齢を巻き戻すことを狙うアプローチで、臨床試験が始まれば初の事例になるという。研究チームは動物実験で可能性を確認しており、緑内障患者12人と、50歳以上でNAION(非動脈炎性前部虚血性視神経症)を持つ患者6人を対象に治療を適用する計画だ。

他社でも初期臨床の結果が出始めている。Rubedo Life Sciencesは3月、抗老化治療薬「RLS-1496」の初のヒト臨床試験で前向きな初期結果を公表した。

同薬は、湿疹、乾癬、日光による皮膚損傷の患者を対象に4週間試験した。同社は、結果が想定を上回ったとしている。

研究面での連携も広がっている。先月には、オーブリー・ド・グレイが率いるLEV財団がHuman Longevityと連携し、100〜110歳の超高齢者を対象とする研究方針を示した。

個人ごとに老化の進み方が異なる理由を解明し、老化を遅らせる介入法の開発につなげる考えだ。

こうした流れを受け、長寿研究の焦点は平均寿命の延伸から、最長寿命の上限そのものを変えられるかへ移りつつある。現時点では、その水準に達した技術や医療はまだ存在しないが、細胞老化に介入する技術が臨床でどこまで有効性を示せるかが、今後の注目点になりそうだ。

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