銀行各行で株価指数連動預金(Equity Linked Deposit、ELD)の販売が広がっている。預金金利の低下と株高を背景に、定期預金の代替商品として需要が拡大しているためだ。販売額が急増するなか、金融監督院は消費者保護の観点から、商品設計から販売、事後管理に至るまで点検を強化する方針だ。
主要銀行はこのところ、KOSPI200などの株価指数を原資産とするELDを相次いで投入している。KB Kookmin Bank、Shinhan Bank、Hana Bank、NH NongHyup Bankなどは、満期6カ月から1年程度の商品を中心に品ぞろえを増やし、顧客獲得競争を強めている。指数の上昇に応じて上乗せ金利が付く設計が中心で、年10%超の金利をうたう商品も一部にある。
販売拡大の背景には市場環境の変化がある。金融監督院によると、銀行のELD販売額は2024年上期の2兆4000億ウォン(約2640億円)から、同年下期には4兆9000億ウォン(約5390億円)へ増加した。2025年下期には7兆6000億ウォン(約8360億円)まで拡大し、2026年に入ってからも1〜2月で9000億ウォン(約990億円)が販売されるなど、増勢が続いている。
要因としては、株価上昇への期待に加え、預金金利の低下やELSの代替需要が挙げられる。満期まで保有すれば元本保証の仕組みを備えるELDが代替先として認識され、資金が流入したという。株高局面で、通常の預金より高い収益を狙う需要も販売を押し上げた。
もっとも、ELDは一般的な預金商品とは性格が異なる。適用金利は株価指数の動きに連動するため、指数の変動次第で実際の受取利息が大きく変わる可能性がある。
金融監督院が特に注意を促しているのが、「ノックアウト条項」を組み込んだ商品だ。株価が一定水準を上回る、あるいは下回ると、かえって最低金利が適用される仕組みがあるためだ。代表的な例では、原資産となる指数が大きく上昇して条件に達した場合でも、最高金利ではなく1%台の最低金利が確定するケースがあるという。
中途解約に伴う不利益も主要なリスクの一つだ。金融監督院の資料によると、ELDは満期前に解約した場合、利息が支払われないだけでなく、最大0.95%程度の中途解約手数料が発生する可能性がある。2025年1月から2026年2月にかけての関連データでは、中途解約比率は約4.2%で、この過程で想定外の損失が生じたとする苦情も出ている。
金融監督院はこうした点を踏まえ、銀行に対し、商品設計と販売管理の強化を求めている。最高金利を前面に出した販売競争ではなく、消費者にとって実質的な利益がある商品設計と、加入前の十分な説明が必要だとの立場だ。あわせて、満期まで資金を拘束できる顧客に適した商品かどうかを見極めたうえで販売すべきだと強調している。
また、中東情勢の緊迫化など外部要因で金融市場の変動性が高まるなか、関連商品の苦情が増える可能性にも目を配る。金融監督院は、ELDを含む金融商品の設計段階から販売、事後管理までの全過程で、消費者保護の実態を点検する方針だ。
専門家は、ELDを預金と投資の中間に位置する商品として理解する必要があると指摘する。元本保証という特徴だけで判断するのではなく、収益構造や適用条件を十分に把握することが重要だという。株価指数の変動幅、金利確定の条件、中途解約時の費用を事前に確認しなければ、期待した収益と実際の結果に乖離が生じかねないとの見方だ。
銀行関係者は「元本保証と預金者保護限度の適用は明確な強みだが、収益は条件付きで決まるため、商品上の上限がある」と指摘。「株高局面では、株式に直接投資した方がよかったという機会費用の観点も意識する必要がある」と話した。
別の銀行関係者も「ELDは、定期預金より相対的に高い金利を求める顧客ニーズに応え得る商品だ。満期まで保有すれば元本が保証される利点は明確だ」とする一方、「商品構造を十分に理解したうえで加入すべきだ」と述べた。