韓国銀行のシン・ヒョンソン新総裁は4月21日の就任演説で、「物価・金融安定」「ウォン国際化」「デジタル通貨対応」「構造改革への貢献」の4つを中核課題として打ち出した。中東情勢に起因する供給ショックや金融環境の変化を踏まえ、中央銀行の役割を見直す考えも示した。
金融政策運営については、「中東戦争に伴う供給ショックで、物価と成長の見通しを巡る不確実性が高まっている」と指摘。そのうえで、慎重かつ柔軟な政策運営を通じて、物価安定と金融安定の両立を図る方針を明らかにした。
あわせて、政策目的の衝突を和らげるため、政策手段を改めて点検し、政府との連携や市場との双方向コミュニケーションを強化すると強調した。
金融安定政策では、従来の枠組みにとどまらない対応を進める考えを示した。銀行とノンバンク、国内市場と海外市場の境界が急速に薄れているとして、健全性指標に加え、市場価格指標も積極的に活用し、早期警戒機能を強化するとした。
対象範囲についても、ノンバンク部門の拡大、金融機関のオフバランス取引、非伝統的な金融商品の分析まで広げ、中央銀行としての金融安定機能を高める方針を示した。
国際化とデジタル化への対応も主要課題に位置付けた。ウォン国際化に向けては、外為市場の24時間化を進めるほか、海外でのウォン決済システム構築にも言及した。
また、外為取引の利便性と安定性を国際基準に合わせて高めるとともに、中央銀行デジタル通貨(CBDC)と預金トークンの活用拡大、国際協力プロジェクトへの参加を通じて、デジタル決済環境でもウォンの地位向上を図る考えを示した。
構造改革を巡っては、中央銀行の役割拡大を明確にした。「構造的要因は金融政策とは切り離された領域ではなく、政策運営の重要な一部だ」と述べ、踏み込んだ研究と政策提言を通じて、経済の望ましい方向性の提示に寄与すると語った。
組織運営では、職員の能力向上に向けた組織文化の改善、部門横断の連携拡大、デジタル技術の活用による生産性向上を掲げた。国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)など国際機関での議論にも積極的に参加し、韓国の政策経験を共有することで、国際的な議論形成に貢献する方針も示した。
シン総裁は「提示した課題はいずれも容易ではないが、韓国銀行の能力と経験を基盤に十分に乗り越えられる」としたうえで、「組織変革と政策成果の創出をともに進めていく」と述べた。