Coinbaseは20日、英国の利用者向けに、暗号資産を担保としたUSDC融資サービスを開始すると発表した。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、英国の利用者はBitcoin(BTC)、Ethereum(ETH)、Coinbase Wrapped Staked ETH(cbETH)を担保として差し入れ、USDCを借り入れられる。
融資は、Base上のレンディングプロトコル「Morpho」を通じて提供する。BTCを担保とする場合、担保額に応じて最大500万ドル相当のUSDCを借りられる。金利は固定ではなく変動制とする。
Coinbaseによれば、適用金利はBase上の市場環境に応じてMorphoが決定する。このため、借入コストは常に変動する可能性がある。
返済期限は固定されていない。一方で、担保価値に対する借入比率が一定水準を超えると、清算される可能性がある。満期返済の制約は小さい半面、価格変動に応じた担保管理が必要になる仕組みだ。
今回のサービスは、Coinbaseが2025年から米国で拡大してきた暗号資産担保融資の英国向け展開に当たる。Coinbaseは2025年11月、ニューヨーク州を除く米国内で同種のサービスを提供し、当時はEthereum担保で最大100万ドルのUSDC融資を扱っていた。英国では、担保資産と上限額の両面でサービス内容を広げた格好だ。
英国での展開拡大の背景には、現地の規制整備の動きもある。英国金融行為規制機構(FCA)は16日、今後の暗号資産規制の枠組みに関する意見募集を開始した。新たな規制は2027年10月の施行が見込まれ、ステーブルコイン、取引プラットフォーム、カストディ、ステーキングなどが対象となる。
現行の英国の暗号資産規制は、金融プロモーション規制とマネーロンダリング対策(AML)を中心とする限定的な枠組みにとどまっている。
こうした環境下で、Coinbaseは今回の英国での提供を、現地の商品ラインアップ拡充の一環と位置付ける。Coinbaseは2025年にFCAへの登録を完了し、個人投資家と機関投資家の双方に暗号資産および法定通貨関連サービスを提供できるようになった。さらに同年11月には、英国で分散型取引所(DEX)取引と貯蓄口座サービスも開始している。
Coinbaseは、個人向け金融サービスをオンチェーン基盤へ移行する戦略も進めている。今回の英国展開によって、現地でのサービス群に融資を加えた形だ。暗号資産担保型の融資を、従来型金融の需要につなげる取り組みも並行して進めている。
その一環として、Coinbaseは3月26日、Better Home & Financeとの提携を発表し、住宅ローンの頭金確保に向けた融資でBitcoinやUSDCを担保として活用できるようにした。
英国では本格的な規制施行まで限定的な規制環境が続く見通しで、Coinbaseはその間に事業領域の拡大を進める構えとみられる。同時に、オンチェーン融資を主要な個人向け金融サービスへ広げる狙いもにじむ。ただし、利用者には変動金利と、担保比率の悪化に伴う清算リスクへの注意が求められる。
今回の提供により、Coinbaseは英国で取引、貯蓄に続き、融資までサービス領域を広げることになる。オンチェーン融資インフラの整備と規制制度の構築が並行して進むなか、暗号資産担保型の金融サービスが広がる余地を示した。