未成年のソーシャルメディア利用を制限しても、炭素排出の削減効果は限定的だとの指摘が出ている。青少年のアカウントを停止しても、データセンターやネットワークインフラの電力消費構造そのものは変わらないためだ。
CleanTechnicaは20日、デジタルサービスの電力使用は利用者の年齢にかかわらず、インフラ側で継続的に発生すると報じた。TikTokやInstagram、YouTubeを支えるデータセンターは24時間稼働しており、青少年の利用を止めてもアプリやサーバーの稼働が止まるわけではないとしている。
同メディアは「データセンターは利用者の年齢を区別しない」とした上で、「16歳の利用者がログアウトしても、サーバーの消費電力が減るわけではない」と指摘した。
このため、未成年のSNS規制を炭素削減政策と結び付けるのは無理があるとの見方が出ている。仮に青少年がSNSを使えなくなっても、別の画面や別のコンテンツに移る可能性が高く、スクリーン利用時間の総量が減るとは言い切れないためだ。
もっとも、各国で未成年のSNS規制が進む背景は、気候変動対策とは別にある。オーストラリアは2025年12月の法施行に合わせ、16歳未満によるFacebook、Instagram、Snapchat、TikTok、X、YouTube、Redditの利用を禁じる厳格な規制を導入する。デンマークは15歳未満の利用禁止を推進しており、マレーシアも16歳未満の禁止を予告している。
スペインの首相も同様の規制を求めており、ポルトガル議会は関連法案を可決した。英国上院は16歳未満の利用制限を強化する修正案に賛成した。フランスでは2023年以降、15歳未満の利用者に対する保護者同意要件の執行が進められている。フィリピン上院でも2025年7月、18歳未満の利用を禁じる法案と、13〜17歳について確認済みの保護者同意を条件に利用を認める別案が提案された。
こうした規制の主な名目は比較的明確だ。各国では、メンタルヘルスの悪化やサイバーいじめ、設計段階から組み込まれた依存性、アルゴリズム主導型プラットフォームが成長期の青少年に及ぼす悪影響などが問題視されている。
一方、炭素排出の削減には別のアプローチが必要だとの声もある。具体策としては、データセンターへの再生可能エネルギー導入の義務化、サーバー運用の効率基準強化、プラットフォームのエネルギー使用量に対する課税、動画ストリーミングの伝送効率改善などが挙がっている。特に、インターネットのエネルギー消費を押し上げている主因は、青少年による投稿のアップロードよりも動画ストリーミングだと指摘した。
政策コストを誰が負担するのかも論点になっている。CleanTechnicaは「青少年が代償を負い、企業が負担しないのであれば、それは気候立法ではなく、環境配慮を装った論点のすり替えだ」と批判した。未成年のSNS利用規制は青少年保護の観点から議論し得る一方、排出削減効果まで政策目的に掲げると、議論の焦点がぼやけるとの主張だ。
各国で未成年のSNS規制は今後も青少年保護を軸に議論が続く公算が大きい。その一方で、デジタルインフラの電力消費や炭素排出の問題は、プラットフォームやデータセンターの運用構造そのものに直接切り込む形で扱うべきだとの指摘も強まりそうだ。