英エネルギー投資会社Reabold Resourcesが、英北部のガス田を活用したビットコイン採掘案を検討している。対象は限定的な実証と説明しているが、エネルギー安保や環境面を巡って議論が広がっている。
20日付のCoinDeskやThe Blockによると、同社はヨークシャーのウェスト・ニュートンA坑井で産出したガスを使い、小型発電設備を設けて、その電力をビットコイン採掘に充てる案を検討している。将来的なデータセンター電源としての活用可能性を見極める実証の位置付けだという。
Reaboldはロンドンに本社を置き、欧州のガスプロジェクトに投資してきた。今回の計画では、現場で産出するガスを使ったデータセンター開発モデルの検証を目指す。
共同最高経営責任者(CEO)のサチン・オジャ氏は、自社のガス供給を活用することで、採掘向け設備を比較的低コストで運営できるとの見方を示した。あわせて、ガス田の追加開発に向けた資金確保や事業性の検証にもつながる可能性があるとしている。
一方、計画公表後には批判も出ている。英紙デイリー・テレグラフは、中東情勢の緊迫化でエネルギー需給の不確実性が高まるなか、ガスをビットコイン採掘に使うことの是非に疑問を投げかけた。
ウェスト・ニュートンのガス田は一定の埋蔵量が見込まれるとされ、資源がエネルギー供給よりビットコイン採掘に振り向けられるのではないか、との懸念も浮上している。
これに対しReaboldは追加説明で、ビットコイン採掘が事業の中核になるわけではないと強調した。ウェスト・ニュートンの陸上天然ガス資源は、英国のエネルギー安保に資する方向で開発するとしたうえで、今回の採掘案は初期ガスを活用する限定的な実証にとどまると説明している。
今後は、ガス網への供給や工業団地向け販売など、従来想定してきた活用策も並行して検討する方針だ。
現時点の検討は、坑井整備後に発生する初期ガスを使って小型発電設備を運用する段階にとどまる。同社は、現場ガスをデータセンター電源として利用できるかを検証し、長期的にはより大規模なデータセンター開発につなげられるかも見極めるとしている。
環境団体や一部の専門家は強く反発している。新規ガス田開発やフラッキングへの反対に加え、エネルギーコストの上昇や気候目標への圧力が強まるなか、化石燃料を採掘に使うことは公共の利益に沿わないとの指摘が出ている。
今回の構想は、ビットコイン採掘業界が高性能コンピューティングやAIインフラへと事業領域を広げる動きとも重なる。ビットコイン採掘そのものの収益性だけでなく、データセンター向け電力活用モデルの実証として成り立つかどうかが焦点となる。
あわせて、エネルギー安保と環境を巡る議論が続くなかで、この構想が英国で社会的な受容を得られるかも今後の注目点となりそうだ。