Tetherが、ビットコイン採掘向け金融プラットフォームを手がけるAntalphaの株式8.2%を取得し、主要株主に加わった。米証券取引委員会(SEC)への提出資料で明らかになった。Tetherは足元で採掘や人工知能(AI)、金融サービス、トークン化資産などへの投資を広げており、今回の出資もその流れの一環とみられる。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphが20日(現地時間)に報じた。今回の株式取得により、Tetherは2025年5月の新規株式公開(IPO)後のAntalphaで主要株主の一角を占めることになった。
SECに提出されたスケジュール13Dによると、Tetherは関連会社を通じてAntalpha株195万株を保有する。ジャンカルロ・デバシニTether会長は、この持ち分に関する議決権と処分権限を共同で有するとされた。開示資料では、市場環境などに応じて保有比率を見直す可能性も示している。
Antalphaは、ビットコイン担保ローンや採掘機器向けの金融サービスを提供する企業だ。2024年末時点の融資ポートフォリオは約16億ドル。大手採掘ハードウェア企業Bitmainのエコシステムと近い関係を持つことでも知られる。
業績も拡大している。Antalphaの2025年売上高は7970万ドルと前年比68%増えた。純利益は1850万ドルで、前年の3倍超に拡大した。20日のプレマーケットでは株価が一時約7.2%上昇し、9.97ドル前後を付けた。
今回の出資は、Tetherが潤沢な利益を背景に、デジタル資産インフラや金融サービスへの投資対象を広げている動きと重なる。Tetherは採掘、AI、金融サービス、トークン化資産へと投資領域を拡大している。
同日には、アブダビを拠点とするトークン化企業KAIOSが、Tetherが総額800万ドルの投資ラウンドに参加したと発表した。KAIOSは、Tetherの参加について「戦略的な整合性を直接反映したものだ」と説明した。
KAIOSはさらに、USDTについて「越境資本フローにおける主要な決済レイヤーになった」としたうえで、自社はUSDT保有者に対し、機関投資家向け水準の利回り機会へアクセスできる、構造化された規制準拠型の次のレイヤーを提供するとの考えを示した。
Tetherの投資ペースは年初から一段と加速している。3月には睡眠関連製品を手がけるEight Sleepの5000万ドル規模の投資ラウンドを主導し、同社の企業価値は15億ドルと評価された。2月には、XAUtを通じたトークン化金へのアクセス拡大戦略の一環として、Gold.comに約1億5000万ドルを投資し、約12%の持ち分を取得した。同月には、米国で連邦認可を受けたデジタル資産銀行Anchorage Digitalにも1億ドル規模の持ち分投資を実施した。
パオロ・アルドイノTether最高経営責任者(CEO)は昨年7月、Tetherがベンチャー部門を通じて120社超に投資したと明らかにしている。これらの投資は、ステーブルコインの準備金ではなく、会社の利益を原資として実行したと説明した。
またTetherは今月初め、企業価値5000億ドルを前提とした新規資金調達を進めていると報じられた。一方で、投資需要が想定を下回った場合は、調達を先送りする可能性も示している。
こうした中でのAntalpha株取得は、単なる財務投資にとどまらず、採掘インフラとデジタル資産金融への関与を強める動きとして受け止められそうだ。開示資料では追加取得の余地も残しており、Tetherが今後さらに持ち分を引き上げるかどうかが注目される。