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韓国政府が、AIを活用した行政サービス改革を本格化する。行政安全部は、申請や相談対応を一元化する「AI統合民願プラットフォーム」の構築を進めるほか、「AI政府24」などの関連サービスも拡充する方針だ。世界トップクラスとされる韓国の電子政府を、使い勝手の面でも引き上げられるかが焦点となる。

韓国の公共デジタルサービスは高い評価を受けてきた一方で、民間サービスと比べて直感的ではなく、使いにくいとの指摘も続いていた。こうした課題を踏まえ、政府は国家AI戦略委員会の主導で、AIによる行政サービス全般の刷新を進めている。民願処理にAIを導入し、省庁間の縦割りを和らげながら、利用者の体験向上につなげる考えだ。

行政安全部は、AIを活用した統合民願プラットフォームの構築案を2026年第3四半期までにまとめる計画。申請者の要望をAIが分析し、最適な解決策を提示したうえで、関連システムを自動的に連携させる仕組みを想定している。

これにより、利用者は複数の機関を回ることなく、1カ所で申請の受け付けから処理までを完結できるようにする。

同部は3月、1度の訪問で必要な手続きをまとめて処理できるよう支援する「ワンストップ行政サービス推進団」も発足させた。まずは政府24や国民新聞庫など主要な民願サービスを優先的に連携し、その後は全省庁のシステムに広げる計画だ。

推進団には、農林畜産食品部、保健福祉部、国土交通部、中小ベンチャー企業部、国税庁のほか、地方政府も参加する。政府横断の連携組織として運営する方針だ。

オフライン窓口の制度改善も並行して進める。複数の民願を一括して扱う「民願マネジャー」制度を導入し、申請受け付けから完了までの全工程を統合的に管理できるようにする。民願マネジャーは、全国22の市・郡・区で試験運用する予定だ。

各地域では、建築・開発、企業支援、環境、福祉などの分野ごとに2~5人規模の人員を配置し、地域特性に応じた民願サービスを提供する計画としている。

ユン・ホジュン行政安全部長官は、「AI技術は、国民のための行政サービス再設計を進める起爆剤になる」と述べた。そのうえで、「今回発足したワンストップ行政サービス推進団を中心に、AIを活用した民願サービスの再設計を進め、国民の貴重な時間と労力を減らせるよう最善を尽くす」と語った。

行政安全部は、AI統合民願プラットフォームに加え、AI政府24、ヘテクアリミ、AI国民秘書、モバイル身分証も「AIサービス革新課題」として推進する。

このうちAI政府24は、従来の一覧型メニューから脱却し、AIが利用者の意図を把握して必要なサービスを案内する仕組みとして整備を進めている。行政安全部によると、中核となるのは「知能型検索」と「状況に応じた案内」だ。行政用語や手続きに詳しくなくても、日常的な言葉で質問すれば、AIが関連手続きや必要書類を示し、申請ページへのリンクまで案内するという。

このため同部は、中央省庁、自治体、公共機関など325機関のサービスを連携し、LLMが公共サービスを学習・活用できるよう、APIと標準化データの開放を進めている。AI政府24は試験サービスを経て、2026年第4四半期に正式サービスを開始する予定だ。

また、政府が提供する給付や支援策を、国民が個別に探さなくても先回りして知らせる「ヘテクアリミ」サービスも強化する。対象事業は2026年までに約7500種類へ拡大する計画だ。

民間企業の先端AI技術を行政サービスに取り込む「AI国民秘書」事業も加速する。行政安全部は2025年10月、Naver、Kakaoと業務協約を締結し、民間アプリのAIエージェントを通じて公共サービスを利用できる基盤を整えた。AIベースのデジタルサービスを安全に使えるよう、モバイル身分証の拡大も進める。

もっとも、AIベースの公共サービスを定着させるには、省庁間の連携が欠かせない。国家AI戦略委員会が示した行動計画は複数の省庁にまたがり、法制度の整備も必要となるためだ。縦割りの壁が残れば、計画の実行は容易ではないとの見方もある。

このため政府は、国家AI戦略委員会の主導で省庁間連携を促し、進捗状況を継続的に点検する考えだ。

イム・ムニョン副委員長は、「行動計画には、一定の時間的な区切りを設け、その中で言及された省庁が相互に協力するよう求める項目が多い」と説明した。そのうえで、「あらゆるものがつながるAI時代には、省庁間の協力が政策成功の核心になる」と述べた。

さらに、「2012年にディープラーニングがAIの突破口を開いて以降、韓国はこれに備えた先行投資を十分に行えず、多くの技術的負債を抱えている」と指摘した。「古いシステムとインフラの刷新、法制度の整備に加え、中核技術の開発、AI半導体とデータセンターの確保、規制改革と産業支援の加速が必要だ。AI人材の育成と、AIベースの社会に向けた教育システム改革も進めなければならない」と強調した。

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