Binance(写真=Shutterstock)

Binanceが、米紙Wall Street Journal(WSJ)の発行元であるDow Jonesを相手取り、ニューヨークで名誉毀損訴訟を起こした。2月に掲載されたWSJの記事について、少なくとも11カ所に虚偽があると主張している。反SLAPP法制が強いニューヨークでの提訴であり、訴えの成否に加え、立証責任や証拠開示を巡るBinance側の負担にも関心が集まっている。

米ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが19日(現地時間)に報じた。

WSJは2月、Binanceがイラン関連の制裁対象と結び付く10億ドル超(約1500億円)の暗号資産取引を巡り、懸念を示した従業員を解雇したと報じた。Binanceはその約2週間後、ニューヨーク南部地区連邦地裁に提訴した。

今回の訴訟が注目されるのは、ニューヨーク州が米国内でも報道機関の保護や反SLAPP法制が強い地域とされるためだ。反SLAPPは、勝訴そのものよりも訴訟負担を相手に強いることを目的とした訴えへの対抗措置を指す。

WSJ側の反SLAPPの主張が認められれば、訴えは早い段階で退けられる可能性がある。その場合、Binanceが法的費用の負担を迫られる展開もあり得る。

名誉毀損の立証のハードルも高い。Bain Capital CryptoやCoinbaseで政策助言を担ったクラム・ダラは、記事の一部に誤りがあるだけでは足りず、WSJが報道時点で虚偽と認識していたか、あるいは真実性を著しく軽視していたことまで示す必要があると説明した。

審理が本案に進めば、Binance側の負担はさらに重くなる可能性がある。証拠開示が始まれば、社内のコンプライアンス監視報告書、調査チームと経営陣のメール、取引記録、イラン関連資金の流れをいつ把握したかを示す資料などについて、開示を求められる可能性がある。

Binanceは2023年の刑事合意に基づき、独立した監視人2人の監督を受けている。VerifyVASP Americaの責任者であるアマンダ・ウィックは、調査担当者の報告が無視された、あるいはその対応として解雇が行われたのであれば、大きな問題になり得ると指摘した。

一方、提訴の狙いは勝訴だけではないとの見方もある。Binanceは3億人を超える利用者の資産を預かっており、否定的な報道が直ちに利用者離れにつながる可能性があるためだ。

クラム・ダラは、この業界では否定的な見出しが大きな打撃になり得ると述べた。

なお、Binanceは2020年11月にもForbesを相手取り、ニュージャージーで同様の名誉毀損訴訟を起こしたが、裁判前に3カ月で自主的に取り下げている。今回のニューヨークでの提訴についても、法的対応であると同時に、報道内容の検証に応じる姿勢を示す狙いがあるとの受け止めも出ている。

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