Sanan Optoelectronicsは買収を断念したが、海外生産拠点の確保とグローバル供給網の強化方針は維持するとした。写真はイメージです。

中国のLEDチップ大手Sanan OptoelectronicsによるオランダのLumileds Holding買収が、米当局の安全保障審査を受けて撤回された。米中対立が欧州企業を対象とするM&Aにも影響を及ぼし、国際買収を巡る不透明感が改めて浮き彫りになった。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が4月17日付で報じたところによると、Sanan Optoelectronicsの提携先であるInari Amertronは、2億3900万ドルの現金による買収提案を取り下げた。対米外国投資委員会(CFIUS)がこの案件について、「解消不能な国家安全保障上のリスク」があるとして難色を示したためだ。

Sanan Optoelectronicsは公表資料で、CFIUSから審査申請の取り下げと取引の断念を求められ、当事者間でこれを受け入れて買収手続きを正式に中止したと説明した。今回の買収は、海外生産拠点の確保とグローバル供給網の強化を狙った戦略投資だった。

同社は2025年、Lumiledsおよび欧州・アジアの子会社を100%取得する計画を発表していた。シンガポールとマレーシアの生産施設を取り込み、グローバル顧客への対応力を高める構想だった。

ただ、契約上の前提となっていた規制当局の承認を得られず、取引継続は困難になった。Sanan Optoelectronicsは、今回の撤回が財務や通常の事業運営に重大な影響を及ぼすものではないとし、中高級LED市場での競争力強化とグローバル戦略は維持する方針を示した。

Lumiledsを巡っては、過去にも中国系による買収が頓挫している。2015年にPhilipsが持ち分売却を進めた際、中国のプライベートエクイティ・ファンド連合が買収を試みたが、2016年にCFIUSの反対で実現しなかった。当時は、LED製造に使われるデュアルユースの半導体技術が流出する可能性を米当局が懸念したとされる。

その後、LumiledsはApollo Global Managementに買収されたが、重い債務負担を抱える中で、2022年に米連邦破産法11条の適用を申請し、経営再建を進めた。グローバル供給網の混乱や地政学リスクも経営の重荷になったとの見方が出ていた。

今回の案件は、中国の技術企業による海外買収に対する米国の警戒が一段と強まっていることを示した。米連邦通信委員会(FCC)も最近、中国の通信事業者による米国内データセンター運営の制限を検討しており、対中規制の姿勢を維持している。

欧州でも同様の緊張は続く。オランダではNexperiaと親会社Wingtechを巡る対立が続いており、ガバナンスと安全保障の問題が複雑に絡み合っている。

SananによるLumileds買収の破談は、米中対立が二国間にとどまらず、欧州市場での企業買収にも影響を与えていることを示す事例といえる。中国企業の海外拡大戦略は今後も、各国の安全保障審査や外交環境に左右される局面が続きそうだ。

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