米上院のエリザベス・ウォーレン議員は、米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス委員長が、同委員会の執行活動の減少を巡って議会を誤導した可能性があると批判した。SECが4月7日に公表した2025会計年度の執行データでは、執行措置の開始件数が過去10年で最低水準だったという。
Cointelegraphが19日に報じたところによると、ウォーレン議員は16日付の書簡で、アトキンス委員長が2月12日の議会公聴会で行った答弁と、後に公表されたSECの公式データとの間に重大な食い違いがあると指摘した。
争点となっているのは、SECの執行件数の落ち込みだ。ウォーレン議員は公聴会で、当時入手可能だったデータに基づき、SECの執行活動が減少していると指摘した。これに対し、アトキンス委員長は、どのデータを念頭に置いた指摘なのか分からないと応じていた。
しかし、その後に公表された公式データは、ウォーレン議員の指摘を裏付ける内容だった。ウォーレン議員は書簡で「私が指摘したSECの執行減少は事実だった」とした上で、「先週公表されたデータは、SECが開始した執行措置の件数が過去10年で最も少なかったことを示している」と述べた。
ウォーレン議員は、今回の数字を単なる件数減ではなく、SECの執行機能の低下を示すものだと位置付けた。「極めて憂慮すべき状況だ」とし、SECが執行責任を事実上放棄しているように見えると批判した。
さらに、機関全体の執行活動は過去20年以上で最低水準に落ち込んだと指摘した。
あわせてウォーレン議員は、公聴会でのアトキンス委員長の答弁そのものも問題視した。2025会計年度の終了から4カ月以上が経過した時点で開かれた公聴会で、関連データを把握していないかのような答弁をしたのは「非常に問題だ」とした。
その上で、こうした答弁は「委員会に対し、SECの執行状況について意図的に誤解を与えようとしたのではないかとの懸念を生じさせる」と書簡で指摘した。
今回の論争の背景には、暗号資産を巡るSECの執行方針の変化もある。SECはトランプ政権発足後、暗号資産企業に対する執行姿勢を後退させ、バイデン政権下で提起していた暗号資産関連訴訟を和解または取り下げてきた。
こうした動きは、一部の議員から批判を受けている。
ウォーレン議員は書簡で、アトキンス委員長が公聴会当時、SECの執行状況を実際に把握していたのか、また執行件数の減少をどう説明するのかについて一連の質問を示し、回答期限を4月28日とした。
アトキンス委員長が執行減少の理由をどう説明するのか、また議会答弁を巡る批判にどう対応するのかが、今後の焦点となる。
SECは本件について、現時点で見解を示していない。暗号資産企業への執行緩和と、機関全体の執行減少が同じ流れにあるのかどうかも、議会の検証対象になる可能性がある。