ホルムズ海峡を巡って米国とイランの対立が激化している(写真=Reve AI)

中東情勢の緊迫化により、世界の原油供給は約7週間で5億バレル超減少し、原油換算の損失額は500億ドル(約7兆5000億円)を上回った。ホルムズ海峡の再封鎖リスクもくすぶっており、市場では供給網の正常化に数カ月から数年を要するとの見方が広がっている。

Cryptopolitanが19日に報じたところによると、供給混乱は2月末以降も続いている。影響は単なる供給量の減少にとどまらず、価格形成や在庫、物流の流れ全体に及んでいる。

Kplerのデータでは、市場に供給されなかった数量には原油とコンデンセートが含まれる。市場関係者の間では、今回の混乱を現代のエネルギー市場でも最大級の供給ショックの一つとみる声が出ている。

減少規模の大きさを示す比較として、5億バレルは世界の航空需要の約10週間分、米国需要の約1カ月分、欧州需要の1カ月超に相当するという。Wood Mackenzieのイアン・モワット氏は、こうした数値を実際の消費規模に照らして説明した。

原油価格の焦点は引き続きホルムズ海峡にある。イランのアッバス・アラクチ外相は18日、停戦合意後に海峡が開放されていると明らかにした。一方、ドナルド・トランプ米大統領は戦闘終結に向けた合意が近い可能性に言及したものの、具体的な時期は示さなかった。先行きがなお不透明ななか、市場は海峡の再封鎖を警戒している。

予測市場では、イランがホルムズ海峡を再び封鎖した場合、今月の米国原油価格が1バレル100ドル(約1万5000円)を超える確率を44%と織り込んでいる。トランプ氏は19日、イランが再封鎖をちらつかせて米国に圧力をかけようとしたと主張し、「イランは少し小細工をした」と述べた。さらに「彼らは海峡を再び閉じようとしたが、米国を脅すことはできない」と語った。

海峡の通航は一部で再開し始めた。船舶追跡データによると、カタールのラスラファンを出港したLNG船5隻がホルムズ海峡に向かった。これらが通過すれば、2月28日以降では初の海峡経由のLNG輸送となる。米国が仲介したイスラエルとレバノンの停戦後、イランは18日に航路を再開し、19日にはタンカーの船団の通過も始まった。

もっとも、海峡の再開が直ちに正常化を意味するわけではない。戦闘前のホルムズ海峡は、世界のLNG取引量の約5分の1が通過する主要ルートだった。カタールは世界第2位のLNG輸出国だが、今回の攻撃で輸出能力は17%低下した。復旧作業の影響次第では、年1280万トン規模の供給が3〜5年にわたって市場から失われる可能性もある。

在庫と生産への影響も数値に表れ始めている。Kplerによると、4月の1カ月間で世界の陸上原油在庫は約4500万バレル減少した。3月末以降の生産支障は日量約1200万バレルに達した。

クウェートとイラクの重質油油田は、通常の生産水準に戻るまで4〜5カ月かかると見込まれている。製油施設やラスラファンLNG施設の被害も重なり、供給逼迫は今夏まで続く可能性がある。中東のエネルギーシステム全体が完全に復旧するには、なお数年を要するとの見方も出ている。

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