写真=YouTubeより、Cardano共同創業者のチャールズ・ホスキンソン氏

Cardano共同創業者のチャールズ・ホスキンソン氏は、Bitcoin Core開発者が提案した量子計算機対策案「BIP-361」について、実質的にはハードフォークに当たるとして強く批判した。特に、サトシ・ナカモトの保有分とみられる資産を含む初期のBitcoinを保護できない可能性がある点を問題視している。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが16日(現地時間)に報じた。発端となったのは、Bitcoin Core開発者らが提案したBIP-361だ。量子攻撃に脆弱なアドレスの資金を段階的に凍結し、新たな方式で復旧できるようにする内容を盛り込んでいる。

提案の中核は、凍結された資金をBIP-39ベースのシードフレーズを用いたゼロ知識証明によって取り戻す仕組みだ。既存のアドレス体系を段階的に廃止し、より安全な構造へ移行することを想定している。

これに対しホスキンソン氏は、この仕組みは単なるソフトフォークでは実装できないと主張した。既存利用者の署名方式を無効化する以上、ネットワークの基本ルールそのものを変更する必要があり、結果的にハードフォークが避けられないという見方だ。Bitcoinコミュニティがこれまで、ネットワークの不変性を重視してハードフォークを避けてきた点も強調した。

論点はアップグレード手法だけではない。ホスキンソン氏は、この提案では最も古いBitcoin資産を保護できないと指摘する。復旧要件として示されたBIP-39標準が導入されたのは2013年で、それ以前に作成されたウォレットのBitcoinは、この方式では保有を証明できないためだ。

同氏によれば、BIP-39導入以前に生成されたBitcoinは約170万BTCに上る。このうち約100万BTCは、サトシ・ナカモトが初期に採掘した分と推定される。初期のウォレットはシードフレーズではなくローカルで秘密鍵を生成する方式だったため、提案された枠組みでは復旧できず、恒久的に凍結される可能性があるという。

BIP-361の共同提案者であるBitcoin Core開発者のジェイムソン・ロップ氏も、この案に限界があることは一部認めている。同氏はこの提案について、「最終仕様ではなく、緊急事態に備えたアイデア」と位置付けたうえで、実際には採用に至らないことを望むと述べた。

一方でロップ氏は、長期間休眠していたBitcoinが量子攻撃によって大量に動き出す事態より、あらかじめ凍結する方が望ましいとの立場を維持している。現在、休眠状態にあるBitcoinは約560万BTCに上ると推計している。

今回の論争は、技術論にとどまらずガバナンスの問題にも広がっている。ホスキンソン氏は、Bitcoinには公式のオンチェーン意思決定の仕組みがなく、この種のセンシティブなアップグレードを体系的に決めるのは難しいと指摘した。開発者主導の非公式な合意形成だけでは、量子安全性とネットワーク不変性の衝突を解消しにくいとの見方を示している。

BIP-361を巡る議論は、単なるセキュリティ対策を超え、Bitcoinがどのようにルールを変更し、誰の資産を保護するのかという根本問題に発展している。とりわけ、サトシ保有分を含む初期のBitcoinが保護対象から外れる場合、量子時代を前提としたセキュリティモデルそのものの見直しを迫られる可能性がある。

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