X(旧Twitter)が準備を進める決済サービス「X Money」を巡り、米決済市場への影響に注目が集まっている。PayPalやVenmoの競合となる可能性がある一方、暗号資産決済の統合や利用者残高への利回り付与といった構想は、規制の壁に直面する可能性がある。
米ブロックチェーンメディアのThe Block Cryptoが16日(現地時間)に報じたところによると、Mizuho Researchのアナリストは、X MoneyがPayPalとVenmoに直接的な競争圧力を及ぼし得ると分析した。
MizuhoはX Moneyを、Xの「エブリシング・アプリ」戦略を支える金融インフラと位置付けている。アナリストのダン・ドレブ氏とアンドリュー・ジェンキンス氏は投資家向けメモで、X Moneyは4月に提供が始まる可能性があると指摘。メッセージング、銀行サービス、利回り付与、コマース機能を一体化し、アジアのWeChat PayやAlipayに近いモデルを目指すと説明した。
また、Xが月間アクティブユーザー5億〜6億人規模の到達力を持つことに加え、Elon Musk氏がPayPalの共同創業者である点も踏まえ、米決済市場を揺さぶる潜在力があるとみている。
こうした見方を踏まえ、MizuhoはPayPal株の投資判断を「中立」に引き下げた。PayPalとVenmoは、Xが狙う個人間送金や電子ウォレットの領域で、最も直接的な代替リスクにさらされるためだ。
背景には、X Moneyが単なる追加機能にとどまらず、Xを金融機能を備えたプラットフォームへ拡張する中核手段になり得るとの見方がある。
もっとも、規制面の不透明要因は大きい。Mizuhoは、ニューヨーク州で最近提出されたCRYPTO法案が、X Moneyによる暗号資産決済の統合計画を複雑にする可能性があると指摘した。
同法案は、州内での無許可の暗号資産関連事業を刑事処罰の対象とする内容で、Xの中長期的な暗号資産統合構想にとって負担になり得るとしている。
もう一つの焦点がCLARITY法案だ。非銀行系の金融プラットフォームが提供できる利回り型サービスの範囲を制限する可能性があるとみられている。
Mizuhoは、X Moneyが現金残高に年6%の利回りを付与する案に触れ、「年6%のAPY提供の開始時期は特に慎重な判断を要する」と評価した。利用者が暗号資産、特にステーブルコインを保有する際に、一定の利回りや報酬を付与できるかどうかは、CLARITY法案を巡る議論の主要論点の一つになっているという。
それでもXは、金融機能の拡充に向けた動きを続けている。今週には、株式や暗号資産に関する金融データをタイムライン上で直接確認できる「Cashtags」機能を投入した。
これは、X内で情報収集から決済、資金保管までをつなぐ構想の一環とみられる。
X Moneyの成否は、もはや利用者基盤やプラットフォームの拡張性だけでは決まらない。PayPalやVenmoを脅かす存在になる可能性はあるが、暗号資産決済の統合や利回り付与といった中核機能の実装範囲は、州ごとの規制や連邦レベルの法案審議の行方に左右されそうだ。