欧州企業によるビットコイン財務戦略の導入が広がっている。ただ、マイケル・セイラー氏が主導する米Strategyのような資金調達・買い増しモデルを、そのまま欧州で再現するのは難しいとの見方が出ている。背景には、米国に比べた資本市場の規模の差や、より厳格な規制環境がある。
Cointelegraphが16日(現地時間)に報じたところによると、欧州企業はこうした環境を踏まえ、ビットコイン連動型の資金調達手法を独自に設計している。
Paris Blockchain Week 2026では、Latham & Watkinsのパリ・フランクフルト事務所でパートナーを務めるトーマス・ボーゲル氏が、欧州と米国では金融商品の発行環境が大きく異なると指摘した。
同氏は「米国で転換社債を発行する場合と、フランスや欧州法人の財務諸表を基に発行する場合とでは前提が異なる」と説明。「市場規模、規制、投資家層の違いが、米国モデルの単純な複製を難しくしている」と述べた。
欧州企業がビットコインを財務戦略に組み込んだとしても、資金調達の枠組みまで米国型をそのまま持ち込むのは難しい。実際には、各地域の市場インフラに合わせた調整が進む可能性が高い。
フランスの財務専門企業Capital Bでビットコイン戦略責任者を務めるアレクサンドル・ライゼ氏は、欧州企業がフランス市場やルクセンブルクを基盤とする枠組みなど、現地インフラを活用した資金調達手法を検討していると明らかにした。
欧州でビットコインを保有する企業は増えているものの、市場は依然として小型株・中型株を中心に分散している。
BitcoinTreasuries.netによると、ドイツのBitcoin Group SEの保有量は3605BTCで、保有額は約2億6800万ドル相当。ただ、平均取得単価や損益は公表していない。
Capital Bは2925BTCを平均9万9932ドルで取得しており、含み損率は約25.6%と集計された。
フランスのSequans Communicationsは2139BTCを保有しているが、取得単価や損益データは開示していない。
足元の暗号資産市場の変動は、ほかの欧州企業にも重荷となっている。オランダのTreasuryは1111BTCを平均11万1857ドルで購入しており、含み損率は約33.5%という。
スウェーデンのH100 Groupは1051BTCを平均11万4615ドルで取得し、含み損率は約35.1%となった。
米国との規模の差も際立つ。Strategyは14日、1週間で約10億ドルを投じて1万3927BTCを追加購入し、総保有量を78万897BTCに増やした。
欧州でもビットコインを財務戦略に取り入れる動きは続いているが、発行市場の構造や資金動員力の面で、米国と同じペースで拡大するのは容易ではない。
このため、欧州のビットコイン財務モデルは、米国型の大規模な借り入れと買い増しを軸にするよりも、地域の規制や市場環境に合わせた形で発展していく公算が大きい。フランス市場やルクセンブルクの枠組みを活用した新たな調達モデルをどう構築するか、また中小型の上場企業が中心の分散市場がどこまで規模を広げられるかが、今後の焦点となる。