ビットコインは16日、一時7万6000ドルを上回った。ただ、オンチェーン指標をみる限り、新たな強気相場入りを見極めるにはなお早いとの見方が出ている。価格は持ち直したものの、新規需要や資金流入の改善はなお力強さを欠いているためだ。
Cointelegraphによると、こうした判断材料として注目されているのが、アクティブ投資家の損益状況と資金フローの動向だ。オンチェーン分析企業Glassnodeのアナリスト、CryptoViz.artは、「True Market Mean(TMM)」を用いて、アクティブなビットコイン投資家の平均取得価格を推計した。
TMMは、投資家の資本総額を活動度で調整した供給量で割って算出する指標。長期間動いていないコインや喪失分を除外する点が特徴だ。
ビットコインは1月31日にこの基準線を割り込んで以降、75日間にわたって回復できていない。このため、平均的なアクティブ保有者はなお含み損の状態にあるという。
最大下落率は20%まで拡大し、足元でも平均取得価格を約5%下回る水準で推移している。CryptoViz.artは、現在7万8013ドル付近にあるこの基準線を再び上回ることが重要だと指摘する。アクティブ投資家が再び含み益圏に戻るにはTMMの回復が欠かせず、過去のサイクルでも同水準の回復が相場モメンタムの再加速と重なっていたとしている。
過去の事例も、強気相場入りの判断を慎重にさせる材料だ。2016年以降、ビットコインがこの基準線を下回った局面は計10回あり、継続期間は2日から11カ月超まで幅があった。
2018〜2019年と2022〜2023年のサイクルでは、下落率が57%まで拡大した例がある。2020年3月には、49日間で40%下落したケースもあったという。
資金フローにも、明確な改善シグナルはまだ見えていない。ビットコインアナリストのアクセル・アドラー・ジュニアは、時価総額と実現時価総額の365日増加率が、2026年に入って105取引日連続でマイナスだったと明らかにした。
最新の数値はマイナス0.000652。市場が高値圏を支えるのに十分な新規資金を呼び込めていないことを示すとしている。
30日ベースの実現時価総額の増減も同様の傾向を示した。今年、純流入がプラスとなった日は1月中旬の短期間を含めて7日間にとどまり、1月23日以降はマイナス圏が続いている。
もっとも、4月初旬のマイナス0.54%から足元ではマイナス0.32%へと、減少幅はやや縮小した。実現時価総額そのものも、年初の1兆1200億ドルから1兆800億ドルへ減少し、減少率は3.23%となった。
アドラー・ジュニアは、足元の数値改善について「ビットコインの流出ペースが鈍化しただけだ」とし、強気転換とみるのは難しいとの見方を示した。意味のある変化と判断するには、両指標がプラスに転じたうえで、一定期間にわたってゼロラインを上回って推移する必要があるとしている。
足元の価格反発に対し、需給や資金流入の改善はなお追いついていない。価格上昇だけで反転期待は高まり得るものの、アクティブ保有者の損益分岐点回復と新規資金流入が伴わなければ、持続的なトレンド転換のシグナルとは言いにくい状況だ。
今後の焦点は、ビットコインが7万8013ドル近辺のTMMを回復できるかどうか、そして実現時価総額関連の指標が実際にプラスへ転じるかに集まりそうだ。