金融委員会のイ・オクォン委員長は16日、子会社の重複上場について「原則禁止、例外容認」の方針の下、厳格かつ合理的な審査基準を導入する考えを示した。上場の利益が一部に偏る案件は厳しく見極め、一般株主保護を制度面から強化する。
イ委員長は同日、ソウル・汝矣島の韓国取引所ソウル社屋で開かれた「重複上場制度改善公開セミナー」で、重複上場は韓国の資本市場が長年抱えてきた課題であり、市場の発展を阻害してきた要因の一つだと指摘した。その上で、一般株主保護の制度改正が必要だと強調した。
イ委員長は、欧米では親会社が子会社株式を100%保有し、親会社のみを上場させる形が一般的だと説明した。AppleやMetaのような巨大企業が子会社を別途上場させないのは、法的に禁じられているからではなく、重複上場の過程で生じ得る少数株主との利益相反や取締役の法的責任をあらかじめ認識し、自制する慣行が定着しているためだと述べた。
その背景には、経済実態として一体の企業グループの価値を二重に評価すべきではないとの認識があるとも指摘した。
アジアでも、過去には企業グループ中心の構造の下で重複上場が広く行われてきたが、足元では厳格な審査や開示強化を通じて抑制する流れが広がっているとの見方を示した。特に日本などでも、重複上場は通常の上場とは異なり、株主価値を根本から損ないかねない案件だという認識が企業と市場の双方に浸透しつつあるとした。
一方、韓国については、重複上場が慣行的に行われてきたうえ、主要国と比べてもその比率が依然高いと指摘した。支配株主が実質的な経営権を維持したまま、事業部門や系列会社を拡張する手段として重複上場を活用してきたとの批判が続いてきたとも述べた。
さらに、相続などの問題から親会社の株価を押し下げる誘因が存在し、ディスカウント要因を十分に反映しないまま重複上場が選択されてきたとの評価もあると付け加えた。その結果、一般株主は子会社の成長果実を公正に享受できず、株価ディスカウントも受け入れざるを得なかったと指摘した。
イ委員長は、一般株主と支配株主が不公平な土俵に立たされているとの批判を解消し、資本市場に公正で合理的な文化を根付かせるべき時期だと強調した。
ただ、重複上場そのものを一律に禁じるべきではないとの考えも示した。企業の専門性を高め、新たな成長に向けた資金調達手段となり得るためで、目的と効果を基準に乱用の有無を見極めるべきだと説明した。
金融委員会はこれまでも、取引所の上場審査において重複上場を原則禁止とし、総合的かつ具体的な基準を満たす例外的な案件に限って認める方向性を示してきた。
政府は今後、全株主にとって公正で新たな価値を生む上場なのか、それとも上場の利益が特定の少数に偏る非対称的な上場なのかを厳格に審査する方針だ。
また、子会社の重複上場を進める際には、親会社の取締役会が株主への影響を評価し、株主保護策を整えたうえで、継続的に説明と意思疎通を行うよう制度を見直すと明らかにした。
詳細な基準と手続きは、十分な意見集約を経て策定する。施行後には、個別の審査結果や模範事例を反映したガイドラインも補完していく方針だ。
イ委員長は「一般株主はもはや沈黙する多数ではない」と述べ、資本市場は過去とは明確に変わったと語った。
そのうえで、「これまで3度の商法改正により、取締役は全株主の利益を公平に扱うべきであり、支配株主の経営権防衛を目的に自己株式をこれ以上保有することもできなくなった」と説明した。
企業は支配株主だけのものではないという認識が広がっている以上、制度と慣行も一歩ずつ正常化していくべきだと強調した。企業に対しては、株主を単なる資金の出し手ではなく、ともに成長するパートナーとして捉えるよう求めた。