GLP-1受容体作動薬が減量治療の有力な選択肢として広がる一方、単独投与では十分な体重減少が得られない患者が最大20%に上る可能性が示された。こうした患者向けの代替策として、ナルトレキソン・ブプロピオン配合剤「Contrave」の併用療法に注目が集まっている。
米Medical News Today(MNT)は4月15日(現地時間)、最近公表された検討論文をもとに、GLP-1受容体作動薬にContraveを組み合わせる治療法が新たな選択肢になり得ると報じた。
GLP-1受容体作動薬は近年、2型糖尿病治療に加え、肥満治療や減量ニーズの高まりを背景に急速に普及した。KFFの最新調査によると、米国では成人の約8人に1人に当たる12%が、WegovyやZepbound(Mounjaro)などのGLP-1系薬を減量や慢性疾患の治療目的で使用している。
既存研究では、投与開始から1年で開始時体重の5〜15%を減量した例が多いとされる。ただ、すべての患者が同程度の効果を得られるわけではない。Nature掲載の最近の研究では、個人の遺伝的特性がGLP-1治療への反応を左右する可能性があると報告された。
こうした背景から、肥満治療を単剤だけで完結させることには限界があるとの見方が出ている。研究チームは、GLP-1受容体作動薬にContraveを併用する選択肢を提示した。GLP-1が主に満腹感を早めて空腹感を抑えるのに対し、Contraveは食物渇望の低減に強みがあると説明している。
英アルスター大学の臨床研究員ムザミル・フセインは、この配合剤について、脳のドパミン経路や視床下部、中脳辺縁系に作用し、満腹感を高めるとともに食物渇望を減らすと述べた。
フセインは、脂質や糖分の多い食品に対する報酬反応が強い患者では、併用療法が有効となる可能性があると指摘した。配合剤によって、こうした食品から得る満足感が下がり、いわゆる「慰め食い」への衝動を減らせる可能性があるという。
また、GLP-1単独療法で体重の5%以上を減らせなかった患者にも適用の余地があるとの見方を示した。
研究チームは、肥満治療は「単一の解決策」で対応できるものではないと強調した。フセインは、GLP-1治療に十分反応しない患者は少なくなく、糖尿病や心疾患など肥満関連疾患のリスクを下げるのに必要な減量に到達できないおそれがあると指摘した。
そのうえで、科学界はこうした患者群に向けた代替治療や補助療法の探索を継続すべきだと主張した。
臨床現場でも同様の見方が出ている。今回の研究に参加していない肥満・代謝外科の専門医ミール・アリは、併用薬物療法を受けた患者で、より良好な結果が見られるケースは少なくなかったと語った。
アリはまた、肥満は慢性的で広範な健康問題であり、すべての患者に当てはまる単一の治療法は存在しないと述べた。
内分泌内科医のジェニファー・チョンも、「体重減少は複数の要因が同時に作用する領域だ」と指摘した。診療の現場では、薬を継続しても期待した結果が得られず、患者が大きな挫折を経験する例が多いという。
また、誰が治療に反応し、誰が反応しないのかを常に予測できるわけではないとも話した。
チョンはあわせて、反応不十分の原因をより早い段階で見極める重要性を強調した。原因を特定できれば、別の治療や併用療法への切り替えを迅速に進めることができ、個別最適化した治療にも早期に移行できるとした。
今回の研究結果は、肥満治療において単剤だけであらゆる患者ニーズを満たすのは難しいことを改めて示した。満腹感と食への欲求という異なる経路に同時に働きかけるアプローチが、実際の治療戦略の選択肢を広げる可能性がある。