欧州連合(EU)がデジタルネットワーク法(DNA)の法制化に着手した。周波数割り当てやネットワーク利用料を巡る制度設計が盛り込まれる見通しで、韓国の通信政策にも示唆を与えるとの見方が出ている。ネットワーク投資の促進を重視した制度再編として注目される。
チョ・デグン西江大学兼任教授は15日、KTOA主催の「通信産業インサイト」セミナーで、EUにおけるDNAの立法動向とその示唆を紹介した。DNAは、現行の欧州電子通信コード(EECC)を廃止し、加盟国ごとに分かれていた通信規制を単一の枠組みに再編することを柱とする。
チョ氏は、DNAが周波数を「戦略的公共財」と位置付け直した点に着目し、「周波数政策のパラダイム転換に当たる」と分析した。
EECCの下では、27の加盟国がそれぞれ異なる通信規制を適用しており、市場の分断が続いてきた。チョ氏は、その結果として欧州の通信事業者が規模の経済を十分に発揮できなかったと指摘した。
DNAに周波数利用権を最低40年間保障する内容が盛り込まれたのも、通信事業者が中長期の投資計画を立てやすくするためだという。
韓国の通信業界ではこれまで、周波数オークション中心の現行制度が投資余力を圧迫しかねないとの指摘が続いてきた。通信事業者は、一定期間ごとに繰り返される再割り当てや高額な周波数対価が、長期のネットワーク投資の負担になり得ると訴えている。
これに対しDNAは、周波数免許期間の長期化を含む投資インセンティブを通じ、市場の負担を抑える方向を打ち出した。チョ氏は「投資を後押しするアプローチに注目すべきだ」とした上で、「国家レベルの制度的支援と市場参加者の大胆な取り組みが求められる」と述べた。
グローバルOTTのいわゆる「フリーライド」問題など、ネットワーク利用料を巡る議論でもDNAは参考になるとチョ氏は指摘した。韓国でも、ネットワーク利用料の負担を求めるインターネットサービスプロバイダー(ISP)と、これに反対するコンテンツ事業者の対立が続いている。
関連法案は複数提出されているものの、明確な解決策はなお示されていない。
DNAでは、各国の規制当局(NRA)が関与しつつも、最終的には市場の自律的な調整を重視する仕組みが採用された。事業者間で紛争が発生した場合は、NRAが調整会議を開いて仲裁に当たる一方、その内容を記録として蓄積し、今後の紛争処理における事実上の判断基準として活用する構想だ。
一方の主張を認めた事例は、その後の類似案件における基準となり得る。国家が一方的に介入する前に、まず事業者間の協議を促す狙いがあるという。
チョ氏は、こうした枠組みについて、ISPの資金確保の余地を残し、投資の持続可能性を高める趣旨だと解釈した。「ISPが先行投資した費用を回収し、追加の財源を確保できるようにする制度だ」と説明した。
DNAはまだ法案提示の段階にあり、本格施行までには審査や修正が続く見通しだ。ただ、韓国の通信事業者がネットワーク投資を支える制度的な仕組みを継続的に求めてきたことを踏まえると、今後の韓国の立法や政策の方向性を考える上でも重要な参考材料になりそうだ。
業界では、DNAが単なる規制統合ではなく、「投資重視の規制」への転換を示している点に注目が集まっている。韓国でも5Gスタンドアロン(SA)や6G導入を巡る議論が進む中、長期的な周波数政策とネットワーク投資インセンティブは、通信産業の競争力を左右する重要な変数になるとの見方が出ている。
チョ氏は「ネットワーク投資を促進するには、規制を透明かつ明確に設計する必要がある」と述べた。その上で、「イノベーションと利用者保護が調和する、バランスの取れた方策が必要だ」と強調した。