ゲーム開発現場の従事者の間で、AI導入に対する雇用不安が広がっていることが分かった。労組調査では、雇用不安を感じるとの回答が77.3%に達した一方、AIを巡って労使が正式に協議している職場は26.7%にとどまった。国会で審議中のゲーム産業法改正案を巡っては、政策の方向性には高い賛同が集まったものの、制作費税額控除が待遇改善や雇用維持として現場に還元されるとの期待は37.3%にとどまり、労組側は常設の労使政協議体の設置を求めた。
共に民主党のゲーム特別委員会と全国化学繊維食品産業労働組合IT委員会(化繊IT委員会)は15日、国会議員会館第3懇談会議室で、政策懇談会「AI時代のK-ゲーム、労働者に道を問う」を開いた。
懇談会は、国会で検討されているゲーム産業法の全面改正案が開発現場に及ぼす影響を点検し、AI活用が進む局面で必要な制度面の補完策を議論する目的で開催された。改正案では、ゲームを規制対象から振興産業へと再定義し、等級分類業務の民間移管、ゲーム振興院の設立、制作費税額控除などを柱に掲げている。
当日は、共に民主党のゲーム特別委員会委員のほか、国内主要ゲーム企業の労働組合代表者が出席した。
◆政策の方向性には高い賛成、ただ認知度は低水準
最初に登壇したNexon支会長のキム・サンホ氏は、化繊IT委員会に所属するゲーム支会の現場従事者1078人を対象に実施したアンケート結果を公表した。
それによると、ゲーム制作費税額控除への賛成は94.5%、AI関連法の制定は93.1%、ゲーム振興院の設立は91.3%で、政策の大枠には9割超が賛同した。一方で、各政策の内容を「実際によく知っている」と答えた割合は12~16%にとどまった。
制作費税額控除については、待遇改善や雇用維持につながると期待する回答は37.3%だった。税制支援が企業の財務改善にとどまり、現場の労働者に十分還元されないのではないかとの不信感が背景にあるとみられる。
ゲーム振興院の設立では、労働組合の参画が必要だとする回答が80.8%に上った。新設の是非そのものより、現場の声が反映される運営体制を求める傾向が強かった。
AIに関する設問では、現場の切迫感がより鮮明になった。回答者の65.6%が、すでに業務でAIを頻繁に活用しているとし、80.3%は生産性向上を実感していると答えた。全体の約85%は、AIによる現場の変化がすでに始まっている、あるいは数カ月以内に本格化すると認識していた。
その一方で、雇用不安を感じるとの回答は77.3%に達し、収益配分のガイドラインが必要だとする回答も82.3%に上った。AIを巡って会社と労働組合の間で正式な協議が行われている職場は26.7%にとどまり、制度整備の遅れが浮き彫りになった。
また、AI活用の貢献度をどう評価し、インセンティブに反映するかについて、「難しい」または「不可能」とする回答は64%に達した。
キム氏は「AIの問題はすでに生産性の領域を超え、雇用の安定、創作権の保護、公正な成果配分の問題へ移っている」と指摘。「産業振興と労働保護は二者択一ではなく、同時に進めるべき課題だ」と述べた。
◆労組側「今が制度設計の好機」、常設協議体を提案
続いて登壇したWebzen支会長のノ・ヨンホ氏(共に民主党ゲーム特別委員会・産業育成分科委員)は、足元をK-ゲームの「ゴールデンタイム」と位置付けたうえで、その前提として業界内の信頼回復が欠かせないと訴えた。
ノ氏は、アンケートで確認された現場の不安を解消するには、制度的な対話の枠組みが必要だと主張。化繊IT委員会として、常設の労使政協議体を設け、現場従事者の意見を法案設計の過程に直接反映させるべきだと求めた。そうした仕組みが整えば、政策に対する現場の受容性も高まるとの見方を示した。
AIはすでにゲーム開発工程の全般で活用されているが、どの工程でどのように使われているかを最も把握しているのは現場の開発者だとして、労使政が共同で標準ガイドラインを整備する必要性も訴えた。経営陣と開発者の間でAI活用の方向性を巡る認識のずれが、実際の対立に発展する前に、定期的な協議の仕組みを整えるべきだとした。
討論では、大手企業の労組に偏りがちな議論の現状の限界も指摘された。化繊IT委員会委員長のオ・セユン氏は、労組のない中小・インディー系ゲーム企業の従事者が抱える雇用不安に対応するには、企業別交渉にとどまらない産業別交渉が必要だと述べた。
さらに、プロジェクトごとの成否による振れ幅が大きい産業構造を踏まえ、業界全体としてのセーフティーネットがあってこそ、労働者は失敗後も再挑戦できると強調した。
NC支会長のソン・ガラム氏は「ゲーム産業の従事者は開発者であると同時に、利用者であり、トレンドをつくる側でもある」としたうえで、「人材が安定して働ける環境が整ってこそ、産業は持続的に発展できる」と語った。
オ氏は、現場で働く約2万人の組合員を代表する化繊IT委員会が政策設計に加われば、政策の受容性を高められるとして、改めて労使政協議体の設置を求めた。