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ロシア当局は、規制の枠外で行われる暗号資産流通に対する取り締まりを強化する。ロシア中央銀行の登録や免許を受けずに暗号資産流通を組織した行為を刑事罰の対象とする法案草案を承認し、最長7年の禁錮と最大100万ルーブルの罰金を科す方針を示した。2027年7月1日の施行を見込む。

14日付の報道によると、この草案はロシア刑法に新たな条項を追加する内容だ。無登録・無免許で暗号資産流通を組織した行為を明確に処罰対象とし、ロシア財務省は、暗号資産市場を含む複数分野を闇市場から正規の制度下に移す政府方針の一環だとしている。

処罰の水準は、違反の規模や組織性に応じて分かれる。比較的軽微な事案では、10万〜30万ルーブルの罰金、または最大2年分の所得に相当する額の罰金を科す可能性がある。あわせて、最長4年の禁錮や強制労働を適用できるとした。

一方、組織犯罪集団の関与があった場合や、大規模な財産被害、相当額の違法収益が認められる場合は処罰を大幅に重くする。有罪となれば、最長7年の禁錮、最長5年の強制労働、最大100万ルーブルの罰金を科すことができる。罰金額は、最大5年分の賃金やその他の所得を基準に算定する案も盛り込まれた。

被害額や違法収益の基準も示した。350万ルーブル超は重大な財産被害または収益、1350万ルーブル超は大規模な被害または収益とみなす。新条項に基づく刑事事件の予備捜査は、ロシア連邦捜査委員会と連邦保安庁(FSB)が担う。

ロシア法曹界も法案の適用範囲について説明している。ロシア弁護士協会の理事会議長、ブラジミル・グルズデフ氏は経済ポータルRBCに対し、「違法な暗号資産流通とは、国内法に違反してデジタル資産の流通を組織する活動だ」と述べた。法案文言でも、刑事責任の対象を「ロシア中央銀行の登録または免許なしにデジタル資産流通を組織した行為」と規定している。

今回の法案は、ロシア政府が進める包括的な暗号資産規制パッケージの一部に位置付けられる。関連法案には「デジタル通貨およびデジタル権利に関する法律」草案が含まれ、暗号資産取引所やカストディ事業者への許可制導入、コイン取引や投資ルールの整備などを盛り込んだ。非適格投資家にまでアクセス範囲を広げる条項も含まれている。

施行は段階的に進める見通しだ。包括規制に関する法案は2026年7月1日までの採択・施行が見込まれる一方、今回の刑事罰に関する条項は2027年7月1日に発効する見通し。ロシアは、許容する取引を制度の枠内に取り込む一方、規制外の取引には刑事罰を適用する枠組みを整えようとしている。

市場や投資家の受け止めは分かれている。暗号資産専門メディアBits.mediaの調査では、ロシア人の約3分の1が暗号資産を不動産や銀行預金のような資産として認め、規制すべきだと回答した。一方で、ほぼ同程度の回答者が、新たな規制によって政府の統制が過度に強まる可能性を懸念した。

それでも、回答者全体の36%は暗号資産への投資意向があると答えた。ロシア政府は暗号資産を制度の枠内に取り込む動きを急ぐ一方、無許可の取引や海外での保管スキームに対する統制も強めている。グローバル取引所へのアクセス制限策や、ロシア人に海外の暗号資産ウォレットを連邦税務庁へ申告させる案も進めているとされる。今後は、取引所の許可制や海外ウォレットの申告義務がどこまで適用されるのか、また刑事罰条項の内容が2027年の施行までに立法過程でどこまで具体化されるのかが焦点となる。

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