CLARITY Actを巡る協議はなお続いている。写真=Shutterstock

米暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」を巡る協議が、最終合意に向けて前進している。トランプ米大統領の暗号資産政策顧問を務めるパトリック・ウィット氏は、法案成立に向けた調整が「最終局面」に入ったとの認識を示した。

ブロックチェーンメディアのCoinPostによると、ウィット氏はニューヨークで開かれたイベントで、「これまで解決が難しいとみられていた主要論点の大半は整理された」と述べた。数カ月にわたり議論が続いてきた暗号資産の市場構造規制が、立法の最終段階に入りつつあるとの見方が広がっている。

もっとも、最大の争点として残っているのが、ステーブルコインの利息付与を巡る規定だ。現在の規制案では、発行体が保有者に直接利息を支払うことを禁じている。ただ、Coinbaseのような第三者プラットフォームを通じた利息付与まで規制対象に含めるべきかを巡っては、なお見解が割れている。

この問題では、ホワイトハウスと銀行業界の対立も鮮明になっている。米大統領経済諮問委員会(CEA)は8日に公表した報告書で、銀行業界が主張してきた大規模な預金流出懸念を否定した。利息付きステーブルコインの禁止は、銀行融資の維持に実質的な効果を持たないとする定量分析も示した。

これに対し、米国銀行協会(ABA)は13日、独自の分析を公表して反論した。利息付きステーブルコインの普及が進めば、地域銀行からの預金流出が加速し、地方の貸出余力が大きく損なわれかねないと警告した。現在およそ3000億ドル(約45兆円)規模の市場が1兆ドル(約150兆円)に拡大した場合のシステムリスクを、ホワイトハウスは過小評価しているとも主張している。

ABAは、アイオワ州だけでも預金移動に伴う貸出減少額が最大87億ドル(約1兆3050億円)に達する可能性があると試算した。銀行業界が地域経済への悪影響を懸念する一方、暗号資産業界は利息付与の制限がイノベーションを阻害すると反発しており、伝統的金融とデジタル資産業界の利害対立が改めて浮き彫りになっている。

法案成立を促す政治的な圧力も強まっている。ベセント米財務長官は8日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、デジタル資産ルールの整備はドル覇権の維持に向けた急務だと指摘し、早期成立を求めた。Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOも、超党派協議の進展を評価し、法案成立を後押しした。

上院での審議日程も視野に入りつつある。シンシア・ルミス上院議員は、早ければ4月後半にも上院銀行委員会で法案修正協議(マークアップ)と採決が行われる可能性があると明らかにした。委員会報道官は具体的な日程への言及を避けたが、トランプ政権は大統領署名までを含む一連の手続きを重要政策課題の一つと位置付けている。

今後の焦点は、ステーブルコインの利息付与規定で妥協点を見いだせるかどうかに絞られる。CLARITY Act全体の合意形成が進んでも、この条項で折り合えなければ、最終局面で再び調整が難航する可能性がある。

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