米証券取引委員会(SEC)は、セルフカストディ型ウォレットに対応した暗号資産取引インターフェースについて、一定の条件を満たす場合はブローカー登録の対象外となり得るとの見解を示した。正式な規則改正ではないものの、暗号資産関連サービスに対する規制の適用範囲を整理する動きとして注目される。
Cointelegraphによると、SEC取引・市場局の職員は13日(現地時間)の声明で、利用者がブロックチェーン上で直接行う暗号資産証券取引を支援するソフトウェアインターフェースについて、条件付きでブローカー登録を要しない可能性があると明らかにした。
判断の焦点は、サービスが「仲介」や「投資判断への関与」を行っているかどうかにある。SECは、セルフカストディ型ウォレットを利用するインターフェースであっても、取引相手のあっせんを行わず、利用者の投資判断に影響を与えない場合には、既存のブローカー規制が直ちに適用されない可能性があると説明した。
あわせてSECは、当該インターフェースが特定の暗号資産証券取引を誘導・勧誘せず、利用者に提示する取引ルートについて助言や評価を加えないことも要件だと明確にした。こうした条件を満たす場合に限り、登録義務の対象外となり得るとしている。
もっとも、今回の見解はSECの委員会決定を伴う正式な規則改正ではなく、あくまで職員声明にとどまる。このため法的拘束力は限定的で、公聴会や委員会採決を経る規則提案とは性格が異なる。SECは、市場参加者により明確な判断基準を示すための解釈指針だと位置付けている。
委員会内からは、より抜本的な制度整備を求める声も上がっている。ヘスター・ピアース委員は、今回の声明について、デジタル資産を巡るこれまでの広範な証券法解釈を反映したものだと指摘。そのうえで、長期的にはブローカーの定義自体を見直す恒久的な規制アプローチが必要だと強調した。
今回の解釈は、ドナルド・トランプ大統領の就任後に進むSECの暗号資産規制見直しの流れに沿うものとの見方もある。新たな指導部の下で業界に対する姿勢が柔軟化する中、個別の論点ごとに規制の線引きを改めて整理する動きが続いている。
一方、規制当局の人員不足も課題として浮上している。SECは定員5人に対し在任は3人にとどまり、商品先物取引委員会(CFTC)も委員長1人の体制で運営されている。こうした状況を受け、議会の一部では市場構造法案に最低限の人員確保要件を盛り込むべきだとの主張も出ている。
市場では今回の見解について、セルフカストディ型ウォレットや取引インターフェースを手がける事業者にとって短期的な追い風になるとの受け止めがある。ただ、正式な規則ではない以上、今後ブローカーの定義を巡る別途の制度整備や、SECとしての追加対応が進むかどうかが焦点となる。