メモリ半導体価格の上昇を背景にスマートフォン出荷の鈍化が懸念される中でも、韓国ディスプレイ大手のSamsung DisplayとLG Displayの2026年1~3月期業績は底堅く推移するとの見方が出ている。Samsung Displayは旗艦スマートフォン向けパネル供給が支えとなり、LG Displayは前四半期に計上した一時費用の反動減で黒字転換が見込まれている。
Samsung Displayは「Galaxy S25」シリーズなど旗艦モデル向けの出荷が業績を下支えするとみられる。
ハナ証券によると、Samsung Displayの1~3月期のモバイル向けディスプレイ出荷量は前年同期比38%減となる一方、ASPは55.09ドルと前四半期からの下落幅は限定的にとどまる見通しだ。Samsung Displayは前回の決算説明会で、QD-OLED需要は比較的堅調だとしていた。
LG Displayも閑散期ながら収益改善が見込まれる。2025年10~12月期には構造改革費用や在庫関連費用などの一時費用として約3900億ウォンを計上しており、1~3月期はその反動減が寄与する。
大信証券は、LG Displayの1~3月期の営業利益を211億ウォンと推計した。前年同期比530%増、前四半期比25%増で、市場予想を54%上回る水準としている。
中国BOEがAppleの新機種向け供給で採用難航が続いていることも、収益環境の支えになっている。価格交渉でも有利な状況が続いているといい、SK証券は「BOEの新モデル参入が難航しており、価格交渉でも優位に立てる」と分析した。
1~3月期の事業環境が想定以上に底堅かったことで、通期の収益改善シナリオはむしろ鮮明になったとの見方もある。SK証券によると、LG Displayは前年比で約5000億ウォンの減価償却費圧縮が見込まれるうえ、事業ポートフォリオのOLEDシフトによって収益性の改善基調を維持する見通しだ。
Samsung Displayは、年内に稼働を予定する第8.6世代IT OLEDラインの量産を通じ、スマートフォン以外のIT機器市場でもOLEDのシェア拡大を主導する計画だ。同社社長は決算説明会で「第8.6世代IT OLED新ラインの量産と、スマホ以外の製品販売拡大で売上成長を後押しする」と述べている。
◆下期焦点は折りたたみiPhoneとヒューマノイド需要
下期の最大の注目材料は、Apple初の折りたたみiPhoneだ。Bloombergによると、価格は2000ドル(約30万円)からになる見通しで、ストレージ構成によっては最大2799ドル(約42万円)に達するとの見方もある。高価格帯製品の採算改善効果はSamsung Displayに及ぶとみられる。
この折りたたみiPhone向けパネルはSamsung Displayが全量供給を担う見通しだ。IBK投資証券によると、内側7.5インチ、外側5.5インチのパネルを搭載し、Samsung DisplayのA3工場の専用ラインで生産する予定という。
高価格帯製品であるだけに、出荷台数の拡大よりもASP上昇の効果が大きいとみられている。
LG Displayは、スマートフォンやテレビ以外の用途拡大も進める。大信証券は、同社がTeslaのOptimusやBoston DynamicsのAtlasなど複数のヒューマノイドロボット企業向けに、OLEDディスプレイの供給候補として浮上する可能性が高いと伝えた。
車載向けOLEDで信頼性を積み上げてきたLG Displayは、低消費電力と高信頼性が求められるヒューマノイド市場でも競争優位を維持できるとの見方が出ている。一方、折りたたみiPhoneについては、最終的な出荷台数が市場期待に届くかが焦点となる。IBK投資証券は、iPhone全体の出荷に占める比率が5%程度にとどまる場合、パネルメーカーへの影響は限定的だと指摘した。