機関投資家向けの決済インフラで、コルレス銀行を中心とした従来の枠組みからステーブルコインネットワークへの移行が進んでいる。BeInCryptoが13日(現地時間)に報じたところによると、Visa、Mastercard、PayPal、Stripe、J.P. Morganなどの大手がそれぞれ異なる形でステーブルコインを採用する一方、実際の基盤はCircle、Paxos、Coinbase、Wintermute、Fireblocksといった少数の事業者に集約されている。
市場拡大も急速だ。2026年4月時点のステーブルコイン時価総額は3178億9000万ドルと、2024年初めの約1250億ドルから大きく増えた。
2025年の年間送金額は33兆ドルに達し、Visaの年間決済額のおよそ2倍となった。2026年1月の月間送金額だけでも10兆5000億ドルに上り、同期間のMastercardの年間総決済額10兆6000億ドルに迫った。
機関決済で特に存在感を示したのはUSDCだ。2026年1月のUSDCの移転額は8兆3000億ドルで、同月に1兆7000億ドルだったUSDTを大きく上回った。
VisaはUSDCで決済を処理しており、J.P. MorganもSolana上でGalaxyの債務取引をUSDCで決済した。Stripe関連のインフラもUSDCを基盤としている。
発行機能はCircleとPaxosに集中している。CircleはUSDCを発行し、PaxosはPayPalのPYUSDとGlobal Dollar NetworkのUSDGを手がける。
Global Dollar NetworkにはMastercard、Robinhood、Kraken、DBS銀行が参加している。
流通段階の主要なカウンターパーティーも限られている。Paxosは5208件の発行・償却取引を通じ、892億ドルを外部に移転した。主な相手先はBinance、Wintermute、Jane Street、Coinbaseだった。
Circleの資金フローでも、WintermuteとCoinbaseが主要な相手先として確認された。Coinbaseは両発行体をつなぐ主要な流通窓口として機能している。
保管面ではFireblocksが大きな存在感を示した。USDGの最大の単一保有者はFireblocks Custodyで、保有額は1億5000万ドル。供給量全体の8.97%を占めた。
OKXは3つのコールドウォレットに5億1900万ドルを、Krakenは1億2897万ドルを保有した。Fireblocksは、VisaのSolana上のUSDC決済を支えるカストディ基盤にも組み込まれている。
各社の戦略は異なるものの、基盤は重なっている。Visaは2025年12月時点で、Cross River BankとLead Bankを通じたSolanaベースのUSDC決済を年換算35億ドル規模で処理した。
MastercardはUSDC、PYUSD、USDG、FIUSDをネットワークに組み込んだ。StripeはBridgeを11億ドルで買収しており、このインフラはVisaのステーブルコイン連動カードと、Stripeの101カ国向け金融口座サービスの双方で使われている。PayPalのPYUSDは70市場で流通している。
その結果、機関投資家向けのステーブルコイン決済網は、発行をCircleとPaxos、流通をCoinbaseとWintermute、保管をFireblocksと取引所のコールドウォレット、サービス統合をVisa、Mastercard、Stripe、PayPalが担う構図が鮮明になっている。
ポイントは、個々の金融機関が独自に新たな決済網を構築したのではなく、すでに形成されていたステーブルコイン基盤を活用している点にある。発行・流通・保管が少数の事業者に集中したことで機関投資家向け利用の拡大は加速した半面、インフラ依存も同時に強まっている。