Bitcoin(BTC)は6万5000ドル(約975万円)近辺が下値支持線となり、底固めに向かう可能性があるとの見方が出ている。短期の投機資金が相当程度流出し、売り圧力の大半が市場に吸収されたとみられるためだ。
CoinDeskが12日(現地時間)に報じたところによると、Fidelity Investmentsでグローバル・マクロ部門を統括するジュリアン・ティマー氏は、足元のBitcoin相場について「テクニカル面で興味深い局面にある」と指摘し、6万5000ドルを強い下値支持線として挙げた。
同氏は、直近の相場について「なお不安定な地合い」としながらも、マクロ環境そのものは見た目ほど悪くないと分析した。市場では、イランを巡る地政学リスクについて、近く何らかの打開策が示される可能性を織り込み始めているという。
ドナルド・トランプ大統領がイランとの2週間の停戦を発表した後、市場は敏感に反応した。国際原油価格は17%超下落し、株式市場と暗号資産市場はそろって反発した。
その後、WTI(West Texas Intermediate)は1バレル当たり100ドル前後(約1万5000円)で推移し、Bitcoinも7万ドル台前半で取引されている。
ティマー氏は、足元のBitcoinの値動きが金に似た性格を帯びているとみる一方、資金フローにはこれまでと異なる変化が出ていると指摘した。
Bitcoinが昨年10月に12万6000ドル近辺の高値を付けた局面では、短期資金が素早く金へ移っていた。ただ、現在は高値から50〜60%下落しており、市場に残っている短期筋、いわゆる「弱い手」はすでに限られていると説明した。
このため、Bitcoinでは売り圧力の相当部分がすでに解消された可能性がある一方、上昇が続いてきた金はむしろ調整に弱くなりつつあるとの見方を示した。ただ、Bitcoin、金の双方については長期的に強気の見方を維持した。
もっとも、Bitcoinが次の上昇局面に入るには、新たな触媒が必要だと強調した。
マクロ環境に対する評価は比較的落ち着いている。株式市場は地政学的ショック下でも楽観シナリオを相応に織り込んでいるとし、その根拠として、S&P 500の下落率が一時の9%から1%前後まで縮小したことや、クレジットスプレッドが安定していることを挙げた。
一方で、中東情勢がさらに悪化するリスクは残る。イランが湾岸地域のエネルギーインフラを標的とする最悪のシナリオが現実味を帯びれば、市場への衝撃は大きくなり得ると警戒感を示した。
世界の原油供給の約20%がホルムズ海峡を通過しているため、混乱が長引けば、高インフレと成長鈍化が同時に進むショックにつながる可能性があるという。
投資家の反応が以前とは変わってきた点にも言及した。昨年、関税問題を背景にS&P 500が高値から21%下落した局面のように、たび重なる警戒シグナルを経て、市場参加者は以前ほど容易にパニックに陥らなくなったと説明した。
現在の市場には、実際の展開を見極めようとする姿勢が定着し、「弱い手」も以前ほど簡単には動揺しなくなっていると述べた。
金利も主要な変数に挙げた。米10年国債利回りは4.5%前後まで上昇しており、5%接近の可能性も意識されるなか、市場の重荷になっているという。
また、ハイテク株中心の「マグニフィセント7」への資金集中も潜在的なリスク要因として指摘した。
ティマー氏は、こうしたボラティリティの高い局面を単なるリスクではなく、機会として捉えるべきだとした。投資家は市場から退避するのではなく、流動性を供給する側に回るべきだとし、分散ポートフォリオの維持と変動局面での戦略的な対応の重要性を訴えた。