写真=Slate

米新興EVメーカーのSlate Autoが、低価格の電気自動車(EV)ピックアップを軸に存在感を高めている。連邦EV税額控除を織り込んだ2万ドル以下の価格設定と高いカスタマイズ性を訴求し、予約は15万件に達した。2026年末の量産開始を目指す一方、税額控除の終了が価格戦略の不透明要因となっている。

米TechCrunchが12日付で報じたところによると、Slate Autoは2025年4月の正式発表以降、需要を取り込みながら事業拡大を進めている。

同社は約3年間にわたり非公開で事業を進めた後、表舞台に出た。Amazon創業者のJeff Bezos氏や、米大リーグのロサンゼルス・ドジャースのオーナーであるマーク・ウォルター氏の支援を受け、米ミシガン州トロイで準備を進めてきたという。

初の投入車種は、カスタマイズ性を前面に打ち出したEVピックアップだ。連邦EV税額控除の7500ドルを反映した場合、開始価格を2万ドル以下に抑えるとしていた。

ベースモデルは、航続距離150マイル(約241キロメートル)、手動ウインドー、センターディスプレー非搭載、無塗装ボディーといった簡素な仕様を採用する。一方で、乗車定員や車体形状まで変更できる幅広いカスタムオプションを用意した。

同社は発売前から、こうしたコンセプトを積極的に訴求してきた。2024年4月にはカリフォルニア州の街頭で、ピックアップに加え、SUVやハッチバック形状に変更可能なコンセプト車を披露し、モジュール構造をアピールした。

車体形状を柔軟に変えられる点は、同社の差別化要因として注目を集めている。

生産体制の整備も進めている。Slate Autoは、米インディアナ州ワルシャワにある旧印刷工場を生産拠点の候補とし、2026年末の量産開始を目標に据える。

この工場は1958年に建設され、その後は約2年間にわたり遊休施設となっていたという。

市場の初期反応は良好だ。2025年5月には、返金可能な50ドルの予約金に基づく予約件数が10万件を超えた。

さらに同年12月には、トラックとSUVを合わせた予約が15万件を突破した。米国でEV市場の伸びが鈍る中でも関心を維持した点が注目される。

一方で、価格競争力の柱だった税制優遇には逆風が吹いている。2025年7月、ドナルド・トランプ政権が連邦EV税額控除7500ドルの打ち切りを進めたことで、2万ドル以下の価格戦略の維持が難しくなったためだ。

同社は法案署名の前に、該当する価格表現を自社Webサイトから削除した。

経営体制の見直しも進めた。Slate Autoは2026年3月、Amazon出身のピーター・パリッシュ氏を最高経営責任者(CEO)に起用し、従来CEOだったクリス・バーマン氏は車両部門の社長に就いた。

同社は量産準備と並行して、予約を実際の購入につなげる取り組みを進めている。

事業モデルは車両販売にとどまらない。Slate Autoは、カスタムアクセサリーやアフターパーツ市場もあわせて育成する構想を描いている。

完成車販売後の追加収益の確保を狙った戦略とみられる。

資金面でも基盤を広げてきた。2023年の資金調達には少なくとも16社の投資家が参加し、そのうちの1社がJeff Bezos氏だった。

初期投資家は追加ラウンドにも参加し、事業拡大を後押ししたという。

業界では、Slate Autoの成否は3つの焦点にかかっているとの見方が出ている。税額控除終了後も価格競争力を維持できるか、予約を実販売へ転換できるか、そして2026年末の量産目標を計画通り達成できるかが今後の注目点となる。

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