電池リサイクル企業のAscend Elementsが、米連邦破産法第11章の適用を申請した。米EV市場の減速に加え、ケンタッキー州工場向け補助金の撤回で資金繰りが悪化し、投資家からの資金約9億ドルにも影響が及んだ。TechCrunchが10日(現地時間)に報じた。
経営悪化の背景には、米EV市場の失速がある。トランプ政権は、同社のケンタッキー州工場に割り当てられていた3億1600万ドルの補助金を取り消した。すでに2億400万ドルが支給されていたが、同社は不足分を埋める追加資本の確保を迫られていた。
米EV市場は足元で低調が続く。昨年9月には税額控除の終了前の駆け込み需要で販売が伸びたものの、その後は回復基調が見えていない。完成車メーカー各社も米国でのEV投資を見直している。Volkswagenは9日、テネシー州チャタヌーガ工場で生産していたID.4を中断し、ガソリン車のAtlasの生産に切り替えると発表した。
Ascend Elementsはケンタッキー州で100万平方フィート規模の工場を建設していたが、現地では訴訟や工期の遅れが続いていた。電池材料市場を取り巻く環境も厳しい。EV向け電池セル市場は完成車メーカーの開発サイクルが長く、求められる仕様が変わる可能性もある。さらに中国企業は継続的な政府支援を背景にシェアを広げ、価格競争力も高めてきた。
今回の申請は、電池リサイクル技術を持つ企業であっても、需要減速と資金調達環境の悪化が重なれば事業継続が難しくなる現実を示した。
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