韓国銀行は10日、金融通貨委員会を開き、政策金利を年2.50%に据え置いた。李昌鏞総裁は会合後の記者会見で、中東情勢の先行き不透明感が急速に高まっているとして、追加の政策判断を急ぐよりも、物価や成長、市場への影響を見極める局面だとの認識を示した。
李総裁は「中東情勢を受け、物価の上振れ圧力と成長の下振れ圧力が同時に強まり、金融市場や為替市場の変動性も高まっている」と指摘。その上で「現行の政策金利水準を維持しながら、今後の影響を点検していくのが適切だと判断した」と述べた。
物価には上昇圧力が強まりつつある。3月の消費者物価上昇率は2.2%となり、今後は国際原油価格の動向次第で2%台半ばから後半に高まる可能性があるという。李総裁は「今年の物価上昇率は、従来見通しの2.2%を相当程度上回る可能性がある」と語った。
一方で、市場の一部にある利上げ観測には慎重な姿勢を示した。現時点では、金利そのものよりも中東情勢が主要な経済指標に与える影響の方が大きいとの見方だ。
李総裁は「ここ数週間は、金利政策よりも中東から入ってくるニュースによって経済変数が大きく動いている」とし、「いまは利上げや利下げを本格的に議論する段階ではない」と述べた。さらに、「期待インフレや物価がどの水準になれば金利で対応するかを機械的に示すのは難しい。影響の持続性や二次的な波及の有無を総合的に判断する必要がある」と説明した。
中東情勢が長期化した場合のスタグフレーションの可能性についても、否定はしなかった。ただ、現時点でその可能性が高いとはみていない。
李総裁は「現在の状況が早期に収束すれば、スタグフレーションの可能性は大きくない」とする一方、「エネルギーインフラの破壊などでショックが長引く場合には、その可能性を否定するのは難しい」と述べた。今後の景気動向についても、中東情勢が最大の変数になるとの見方を示し、「戦闘の長期化の有無やエネルギーインフラ被害の有無が、他の要因を圧倒するほど重要だ」と強調した。
財政政策については、今回の補正予算を前向きに評価した。李総裁は「今回の補正予算は、負債ではなく超過税収を財源に活用した点で肯定的な側面がある」とした上で、「成長の下振れリスクが大きい状況では、一定の景気下支えの役割を果たし得る」と述べた。
韓国銀行は当面、データを見極めながら対応する姿勢を維持する。李総裁は「今後の金融政策は、中東情勢に関する追加情報と各種経済指標を踏まえ、物価と成長への影響の大きさや持続性を判断して決める」と語った。
また、李総裁はこの日、退任前最後の金融通貨委員会に出席した。在任中の金融政策運営について問われると、「金利決定は金融通貨委員が非常によくやってくれた。自慢のように聞こえるかもしれないが、後悔はない」と述べ、「うまくやってきたと思う」と振り返った。