銀相場が1オンス77ドル台で推移し、テクニカル面では3桁到達への期待が強まっている。オプション市場では強気の見方が広がる一方、先物市場ではコンタンゴが続いており、現時点で実需主導の逼迫感はなお限定的だ。
ブロックチェーン系メディアのBeInCryptoは8日(現地時間)、銀が同日77.31ドルで取引されたと報じた。12時間足ではカップ型のパターン形成が進んでおり、分析上は約32%の上昇余地があるとの見方が出ている。
今回の上昇局面の背景には、米国とイランの停戦が影響している可能性もある。Brent原油は停戦後に15%下落し、ドル指数(DXY)も6日の高値から1.63%下げて98.69となった。ドル安は、米ドル以外の通貨を保有する投資家にとって銀の購入負担を和らげるため、一般に銀相場の支援材料とされる。
チャート上では、3月中旬以降続いてきたカップ型が完成に近づいている。直近高値の77.73ドルを付けた後の小幅な調整は、最終的な「取っ手」部分の形成とみられている。
もっとも、モメンタム指標のRSI(相対力指数)では、価格が切り下がる一方でRSIが切り上がる局面とは異なり、価格が低い高値を付けるなかでRSIが高い高値を付ける「隠れ弱気ダイバージェンス」も確認された。ネックライン近辺で調整が長引く可能性を示すシグナルといえる。
仮に調整が深まっても、直ちにこのパターンが崩れるわけではない。取っ手部分では上放れ前に一時的な押しが入るのが一般的で、焦点は調整の深さにある。ドル安と原油安が続けば浅い調整にとどまる可能性がある一方、マクロ環境が変化すればパターンが失敗に終わるリスクも残る。停戦ムードが後退したり、ドルが反発したりすれば、ブレイク確認ではなく失敗パターンへ転じる可能性がある。
投資家心理はオプション市場にも表れている。iShares Silver Trust(SLV)のプットコール比率は、6日の0.67から7日に0.47へ低下した。建玉ベースの比率も0.60から0.59へ下がった。いずれも1.0を下回っており、プットよりコールの需要が強いことを示している。停戦後のマクロ環境の変化を受け、弱気ポジションの一部が解消された可能性がある。
一方、先物市場は現物需給の逼迫をまだ織り込んでいない。直近限月と翌限月の銀先物の価格差(直近限月−翌限月)はマイナス0.55で、翌限月の価格が高いコンタンゴの状態にある。受け渡し需要の強まりはなお限定的と受け止められる。
2月初旬と3月初旬には、このスプレッドがそれぞれ7.875、6.515まで拡大した。当時は銀価格の急騰とともに、現物需要の強さが意識されたという。
このため、1オンス100ドル到達の可否はテクニカル要因だけでは決まらない。コンタンゴが上昇相場の妨げになるとは限らないが、足元の上昇が現物供給の逼迫よりも、マクロ要因を背景にしたポジショニングに左右されていることを示唆している。持続的な上放れにつなげるには、先物スプレッドが再びゼロ近辺まで縮小するか、プラス圏に転じ、実需が価格上昇に追随する展開が必要になる。
価格帯ごとの注目水準も明確だ。まず77.29〜77.73ドルがカップ型のネックラインに当たる。12時間足の終値ベースで77.73ドルを上回れば、ブレイク確認とみなされる。その上では79.12ドルが最初の確認ポイントになる。
さらに上抜ければ、85.07ドルが最初の主要目標となる。モメンタムが維持されれば、94.69ドル、102.29ドルが次の目標レンジとして意識される。
今後の焦点は2つある。ドル指数が98.69を下回って一段安となるか、そしてコンタンゴ状態にある銀先物のスプレッドが再び縮小するかだ。100ドル目標を現実味のあるものにするには、ドル安の継続と先物コンタンゴの縮小が同時に進む必要がある。こうした条件が満たされなければ、銀相場は85ドル近辺で上昇が一服する可能性がある。