Codasipは、ローエンドのRISC-Vコア事業を売却し、事業再編を進める。汎用的なプロセッサ設計から距離を置き、今後はセキュリティを軸とする半導体アーキテクチャに注力する方針だ。米TechRadarが4月9日(現地時間)に報じた。
報道によると、同社が売却を検討しているのは、組み込み機器や自動車、産業機器向けに使われる低消費電力のRISC-Vプロセッサコア事業。買い手は明らかにしていないが、業界では米半導体大手GlobalFoundriesが有力候補として取り沙汰されている。
売却対象には、電力効率が重視される組み込み市場向けのプロセッサコアが含まれる。Codasipはこの事業を切り離す一方、セキュリティ重視の半導体アーキテクチャやシステムレベルの製品開発に経営資源を振り向ける。
GlobalFoundriesが候補視される背景には、同社のプロセッサIP強化の動きがある。同社はすでにMIPS技術を保有しており、SynopsysのARC-VプロセッサIPの買収も進めている。
CodasipのローエンドRISC-Vコアを取り込めば、低消費電力の組み込み向けから高性能・特化型設計まで、IPラインアップを広げられる可能性がある。
今回の取引には、Codasipのプロセッサ開発ソフトウェア「Studio」の包括的なライセンスも含まれる。同ソフトは、命令セットを利用企業の要件に合わせて変更できるよう支援するツールだ。
これにより顧客は、Armベースの固定的な設計を採用するだけでなく、必要な機能に応じてプロセッサを自ら調整する選択肢を持てるようになる。
こうした動きは、GlobalFoundriesの事業戦略とも重なる。同社はAMDの製造部門を源流とし、半導体の受託生産を主力としてきた。そこにカスタム設計の能力が加われば、自動車、産業、エッジコンピューティング分野での競争力強化につながるとの見方がある。
一方、Codasipは今回の取引を機に、セキュリティ中心の戦略を一段と強化する。「サイバー回復力のある半導体アーキテクチャ」を主要方針に掲げ、CHERI技術に注力する計画だ。
CHERIは、メモリアクセスをハードウェアレベルで制御し、セキュリティ脆弱性の低減を図る技術。ソフトウェアだけでは補いきれない安全性を確保する手法として注目されている。
CodasipのCEO、ロン・ブラック氏は「サイバー回復力は、政府やインフラ事業者、テクノロジー企業にとって戦略上の重要課題になった」とコメント。「後付けでセキュリティを加えるのではなく、コンピューティングアーキテクチャそのものにセキュリティを組み込むことに集中している」と述べた。
取引は約1カ月以内に完了する見通し。売却先がGlobalFoundriesに決まれば、同社は製造主体の事業からプロセッサ技術へと領域を広げることになる。Codasipは汎用設計から脱し、セキュリティ特化型の半導体企業への転換を本格化させる。